第466話

「――師匠が分かりやすくまとめてくれたので、だいぶと分かりやすかったですよ」


「その資料の編纂が大変でしてよ、カミュ」


「まぁなぁ、魔術書を書くってのは根気の要る作業だからな。俺も進んでやりたいとは思わないや」


「ノエルは読むのも嫌です」


 お前は少しくらいは友達を見習って勉強をしろ。

 朝倉が、ノエルの頭を固めて、うりうりとしめつける。


 お勉強嫌いの弟子をひとしきりそうやって懲らしめた彼女は、ふと、その姉弟子が編纂したという魔導書について口にした。


「そういや、お前が一般向けの魔導書を書くのって久しぶりだな」


「そうですわね。まぁ、疑似魔法生物については、あまり需要のないものですから」


「需要がないっていうか、書く奴がいないし手ごろな入門書がないから、結果論的にそうなってるって感じだろう」


 せっかくなんだから、それ、出版してみたらどうだ。

 姉弟子の気苦労をねぎらいたいという思いからか、そんなことを朝倉の奴はなにげなく言ってみたのだった。

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