通信講座と姉弟子

第465話

 ぬいぐるみのトイプードルがとてとてと机の上を歩いている。

 それは南条の弟子、カミュが操る疑似生命体であり、彼女が魔術を練り込んだ糸でつくられたものであった。

 茶と白のキルトが可愛らしいそれを見つめて、ほぇえぇ、と、ノエルがため息を漏らす。


「これ、カミュちゃんが作ったんですか」


「――師匠に、手取り足取り、教えてもらったけど」


「その歳でそれだけのもん作れるならたいしたもんだ。いや、良い弟子を持ったな、南条」


「そんな簡単な話ではないですわよ。苦労したんですよの、実際、こちらも」


 カミュの育成については、何かにつけて朝倉に相談している南条である。

 目を瞑って首を傾げ、顎から頬にかけてを手の上にのせてみせるあたり、その苦労は朝倉に伺いしれた。


 多かれ少なかれ、それは、朝倉がノエルに対して感じているものでもある。


「まぁ、弟子の育成なんてそんなもんさ」


「ですわよねぇ。とはいえ、ほんと、大変でしたわ」

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