通信講座と姉弟子
第465話
ぬいぐるみのトイプードルがとてとてと机の上を歩いている。
それは南条の弟子、カミュが操る疑似生命体であり、彼女が魔術を練り込んだ糸でつくられたものであった。
茶と白のキルトが可愛らしいそれを見つめて、ほぇえぇ、と、ノエルがため息を漏らす。
「これ、カミュちゃんが作ったんですか」
「――師匠に、手取り足取り、教えてもらったけど」
「その歳でそれだけのもん作れるならたいしたもんだ。いや、良い弟子を持ったな、南条」
「そんな簡単な話ではないですわよ。苦労したんですよの、実際、こちらも」
カミュの育成については、何かにつけて朝倉に相談している南条である。
目を瞑って首を傾げ、顎から頬にかけてを手の上にのせてみせるあたり、その苦労は朝倉に伺いしれた。
多かれ少なかれ、それは、朝倉がノエルに対して感じているものでもある。
「まぁ、弟子の育成なんてそんなもんさ」
「ですわよねぇ。とはいえ、ほんと、大変でしたわ」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます