第463話

 結果、朝倉は、今月号の原稿を落さずに済んだ。

 しかしながら社長令嬢が手ずから描いた原稿を没にする訳にはいかない――という極めて大人の事情の上、筆者多忙の故という断りと共に、ノエルの原稿はそのまま雑誌に載せられることになった。


 朝倉先生トバし過ぎ。


 そんなスレッドが某掲示板に建てられたかと思うと、件のラスト三ページと共に掲載された。


 緻密で独特な世界観が売りの朝倉。

 そんな彼女の作品が見せた、そのあまりの変貌ぶりにファンは驚き、ネットは賑わい、雑誌は売れに売れて初めての重版を果たすことになった。

 朝倉としては大失態だが、出版社としては大成功という奴である。


 そんな中、ツイッターで朝倉は、執拗に投げられる質問メッセージに辟易し、ついにラスト三ページに代筆を頼んだことを明らかにした。

 そして、その頼んだ代筆が、自身がであり、今回の一件は、彼女の修業が足りないのにそれを頼んだ自分のせいであると、全面的に謝罪することで見事に幕引きをしてみせたのだった。


 かくして、第一次、朝倉騒動は幕を閉じた――かに見えた。

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