第37話

「えぐいですね、師匠。食肉植物マンイーターを使うなんて」


「命助けられておいてなに言ってんのよ」


 ごろりと転がるドラゴンもどきの亡骸。


 その身体から延びた緑色の幹が茶色くなったかと思うと、見る間に干からびていく。


 食肉植物は土中から栄養素を吸収できない。

 彼らにとって宿主の死は自らの死。


 宿主を生かさず殺さず、永らく寄生して成長する食肉植物だが、それは彼らの棲息地でのこと。

 環境の違う人間界ではまともに生息できず、宿主を食いつぶしすぐ死滅するのだ。


「ひぇ~。いつみても残酷な死に方。師匠も悪趣味でですね」


「アンタと一緒にしないで。なんの考えもなしに呼んだわけじゃないわ」


 根が伸びる死骸に火炎放射を浴びせる。


 外骨格を残し、一瞬にして灰と化した食肉植物を見て、クローデットは不敵に微笑む。

 

「ね。これで手間が省けたわ」


 ドラゴンもどき。


 その外骨格を形成する魔術鉱は貴重な資材だ。

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