第36話

 弟子のピンチと機転に、急遽魔術を練り直したクローデット。


 最初に彼女が唱えていたいたのは、ドラゴンもどきをにするための炎術魔法。


 しかし、今、彼女の手の中に映るのは、召還魔法を示す魔方陣。


 途中まで詠唱した魔術を変じるなどということは、大陸広しといえど、彼女くらいしかできない芸当である。


「さぁ、アンタが食い荒らした大自然に、感謝してお死になさい」


 ドラゴンもどきの頭上に極彩色の円環が顕れる。


 そこから飛び出したのは、緑色をした、ドラゴンもどきとそう変わらない径を持った、野太く雄大な植物の幹。


食肉植物マンイーターよ!! その内側から食い破られなさい!!」


 ノエルが空けた外骨格の穴から侵入したそれ。


 瞬く間にドラゴンもどきの中で増殖すると、その節と節の間から、にゅるりと緑色をした茎が顔をだす。


 たまらずのけぞるドラゴンもどき。


 ノエルに襲い掛かることも忘れ、暫くのた打ち回ったそれは、やがてぴくりとも動かなくなった。

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