第32話

 サンドワーム《ドラゴンもどき》。


 本来天空に棲む種族であるドラゴンが、洞窟に生息する間違ったイメージを植えつけた張本人。


 ドラゴンとはまったく違う種別でありながら、その醜悪な姿により、永らくドラゴンと勘違いされてきた凶悪な獣だ。


 魔力の豊富な地に塒を造り、そこに迷い込んだ生命体、および、あたりの樹木を食い漁り大きくなるそれ。


 さしもの大陸一の魔法使いの額にも汗が滲んだ。


「ちょっと、土竜とドラゴンもどきじゃ話が全然違うわよ」


「師匠ぉ!! どうしますか!!」


「どうしますかじゃないわよ――ノエル、第一種限定解除ディスペル・ワンよ!!」


 まかせてください。と、真っ逆さまに落下しながらいうノエル。


 あわや頭が地面に直撃しようかというその瞬間、彼女の体が青い閃光を発した。


 爆ぜる大地。


 再び辺りに響く轟音。


 土煙の中、ゆらりと現れた、それは、青い光を纏った――人類最強の弟子。


第一種限定解除ディスペル・ワン!! ノエル、月光蝶ギンギラギンギンモードです!!」

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