第29話

 二人が立つのは件のオークの農園。


 大陸最強の名に反して、厄介な弟子を押し付けられているクローデット。

 当然のように押しには弱い。


 結果、彼女はオークの泣き落としに見事に屈した。


「受けたんだから仕方ないわ。さっさと終わらすわよ」


「くくくっ、我のもこもこコレクションを増やす時が来た!! 師よ、存分に我が力を使うが良い!! さぁ、命令オーダーを!!」


 とりあえず静かにしてなさい。

 クローデットは沈黙魔法サイレントを弟子の口へとかけた。


 もごりもごもごと、涙目で訴えるノエル。


「意地悪じゃないのよ。五月蝿いと土竜が出てこないから」


 しかし、地団駄を踏んで何かを訴えるノエル。


 ただならない様子。


 何か気がついたことでもあるのか。


 不思議に思って、クローデットはさっそく、沈黙魔法サイレントを解いた。


「やーいやーい、師匠のペチャパイ天然プレイトメイル娘――って、ハッ!? 声が!?」


「聞こえないからって悪口か。そうか。そうか」


 

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