第28話

「師匠? その巨大な土竜ってのは、そんなに恐ろしいんですか?」


「土竜ってのは、手のひら大のサイズで、土中を掘って塚を作る生き物なのよ? それが大きくなったら? 想像してみなさいな?」


「うぅん? すっごく――可愛い?」


 なんでよ、と、クローデットは落胆した。


 流石脳みそ異次元のアホ弟子。切り返しも普通ではない。


 土竜を可愛いと来たか。

 世間知らずもここまで来ると感心するもんだ。


「えっ? えっ? だって、土竜って、あのちっこくもこもこしたのですよね? 私、結構好きなんですけど?」


「農家にとっちゃ天敵よ。土中の作物を食い荒らすわ、畝を壊すわ。可愛いなんて言うのは、あんたみたいな能天気くらいよ」


「えっ? えっ? えっ? もこもこ可愛くないですか? 私、大きいもこもこも、小さいもこもこも、大好きなんですけど?」


 大きいもこもことは件のクマ寝巻きか。


 美的感覚がどうかしている。

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