弟子とドラゴンもどき

第27話

「巨大な土竜?」


「んだぁ。春先に現れてよ。せっかく育てた芋さ全部くいつくしちまったのよ」


 と、つるりとはげた頭を押さえたのは、緑のオーク。


 彼は王都近くの農園の主である。


 自分の畑に現れた害獣の対策に苦慮したオークは、知り合いの伝手で、王宮魔術師であるクローデットを頼ってきたのだ。


「私は何でも屋じゃないんだがな」


「そんな!! 頼みますだ先生!! このままじゃオラさ一家は、おまんまの食い上げだぁ!!」


「いやけど猛獣退治は魔法使いの仕事じゃ」


「じゃあアレはなんだべさ?」


 オークが指差したのは研究室の隅。


 そこにたっているのはまごうことなき猛獣――クマの剥製。


「ぐぅ」


 をくりぬいて造った弟子の寝巻きであった。

 獣臭いことを抜きにすれば、保温性ばっちりの快適な寝巻きだそうで、これさえあれば立ったまま寝れる――とは、ノエルの談だった。


 はぁ、と、溜息。


「あれはその、まぁ、私の不肖の弟子です」

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