第22話

「お願いします。私はどうしても、貴方と戦わねばならないのです」


「いや、お願いしますって言われても」


「師匠、何かこれ、訳ありな感じですよ」


 アホの癖に妙なところで察しのよいノエル。


 弟子に言われるまでもなく、何か脅迫観念めいたものを、男の姿にクローデットは感じ取っていた。


 なにがあったんですか、と、尋ねるノエル。


 すると男は、ううっと、男ながらに涙を流した。


「実は、私の師オズマは不死の病に臥せっておりまして。そう長くない身体なのです。だというのに、彼は、残す我ら未熟な弟子達の行く末を案じておられて」


「なるほど、それでここは一つ、大陸一の魔法使いを倒して、その血肉を煎じて作った霊薬で師匠の病気を治そうという訳ですね」


「訳ないだろう。何をおそろしいこと言ってるんだお前は」


 師匠をぞんざいに扱うなよ、と、クローデットは思わずノエルを白眼視した。

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