第21話

「で、どちらさん?」


 天下一の魔導士の威厳もなにもない。


 まるで部屋にやって来た押し売りを、追い返すようなけだるさ。

 

 クローデットは歳若い男に向かって冷たい言葉を浴びせた。


「お初にお眼にかかります。私は西蘭セーランの宮廷魔法使いオズマの一番弟子、アズライト・ジレ」


「はいはい、アズライトくんね。遠いところからどうも」


 けど、残念ながら、今日は店じまい。

 道場破りはもうやってないのよ。


 ふりふりと手を振って追い返そうとするクローデット。


 そんな彼女に、アズライトはいきなり膝をついた。


「お願いします、クローデット様。そこをなんとか、私と魔法勝負をしてくださいませんか!!」


「やなこった」


「パンナコッタ!!」


 ぶぶぶ。


 黙ってなさいと、クローデットが弟子の口を押さえた。


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