第19話

「しかし、懲りずに来るわね道場破り」


「大陸一の魔法使いの称号が、よっぽど欲しいんですね」


 大陸にこの人あり。大魔導士クローデット。


 そんな彼女の名声をねたんでかあやかってか、彼女の研究室には魔法使いがよく勝負を挑みにやってくる。


 そのたびに何かにつけて勝負を避ける彼女。


 別に勝つ自信がない訳ではない。


 無駄なことに、時間も魔力も裂きたくないというシンプルな理由だ。


「誰がこんな迷惑なことを思いついたのよ。魔法使いって、もっとこう知的な存在でしょ。勝負なんてナンセンスよ」


「流石師匠!! まったくもってその通り!!」


知性インテリジェンスのかけらもないおべっかね」


「私も思ってたんです、魔法使いなら早口言葉とか、伝言ゲームとか、そういうので勝負するべきだって!!」


 あぁそうね。


 正真正銘の天才には、高等魔術もお遊びの範疇か。


 なんだか自分がくだらなく思えて、クローデットは溜息を吐いた。

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