第3話 手紙

お父様に与えられた家に住み始めて3日が経ちました。

人間、好きなことには馴れるのが早いもので、魚捕りや畑いじり、木の実の採集も簡単にこなせるように成りました。


「姫様~!」

「あら、シアン。どうしたの?」


木々の間から手を振りながら姫様と呼ぶのは、イージス公爵家の持つ隠密部隊〝暗〟の副隊長シアン。

彼は一見おちゃらけている様に見えるけど、イージス公爵家に仇なす者は容赦なく叩き潰せる力を持っている。

本人曰く、まだまだ隊長には届かない。らしいが、隊長がシアンにいつ追い越されるかと戦々恐々とし、鍛練の量を増やしているのを私は知っている。


「当主様からの手紙っすよ~」

「まぁ、お父様から?」


シアンがカバンの中から出した手紙を受け取り、目を通していく。

要約すると、


『 愛する娘マキナへ。


あのバカ王子の沙汰が決まったよ!

...と言っても2週間の監禁に収まったんだ。

世継ぎがバカ王子しか居ないから、これ以上は無理みたいだ。

それと、リーベ王国の国王陛下にこの事を伝えたら、『シファーファ、俺のところに来いよ』って言ってたよ!陛下に嫁ぐかは自分で決めていいよ。ただ、1回は顔見せに行ってね。

PS.ユリアが最近、『マキナちゃん成分が足りない!』って叫んでるから1回、帰ってきてくれるかな(汗)


貴方の父、ジュード・イージスより。』


リーベ王国陛下は相変わらずね。

まぁ、それでこそあの人なのだけど。

それに、お母様。

『マキナちゃん成分』って何ですか?私は新しい栄養素か何かですか?


「はぁ... 」

「?どうかされたんで?姫様。」

「ちょっと待っててちょうだい。1度屋敷に帰るわ。」

「了解っす!」


私は家の中に戻り、服装を整えてからお母様とお父様への手土産物を持ち、ふたたびシアンの所へ戻る。


「さて、屋敷に『飛ぶ』わよ。」

「相変わらず便利っすね~〝空間魔導〟。」

「便利を通り越す使いやすさだからなるべく戦闘と緊急時以外では使わないようにしてるわ。...じゃ、逝くわよ。」

「字が違うっすよ?!」

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婚約破棄から始まるフリー・ライフ ゆあ @dear_about_me

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