DIE7話 百鬼町夜行通りにて

 ここは、めい地獄界隈かいわい*百鬼町夜行通り。天国と地獄の境界にある唯一の街であり、死後世界の入り口。街のぐ横には、天地をつなさんの川も流れている。街の中央に立つエン天楼テンロウ。通称サイハテには、かの有名な“閻魔裁廷さいてい所”がコンリュウされている。そこでは、亡くなった人間の死後が定められる。

 現世で少女に出会ってから数週間が過ぎた。日頃の激務から解放されたカミシノは、疲れ果ててしまい、いつの間にか、応接室にあるソファー上に寝てしまう。そんな毎日を送っていたカミシノのもとに一本の電話が掛かってきた。

 "チリリリリーン、チリリリリーン"

 ソファー横の茶色い木製机の卓上に置いてある黒電話が勢いよく鳴る。だが、カミシノは、ソファーに寝転んだまま起きない。すると、極彩色の花柄シュウた着物を羽織る双子の座敷ワラシが寝ていたカミシノを叩き起こす。

『電話ですよ、起きて下さい』

「電話ですよ、起きて下さい」

 etc...交互に繰り返される双子の呼び声で、さすがにカミシノは、目を覚ます。寝ていたソファーから起き上がり、双子から黒電話の受話器を受け取る。


 "はい。もしもし、こちらは百鬼探偵カミシノ事務所です。"


 その電話の主は、数週間前に現世で出会った少女からだった。本当に電話を掛けてきた為、少し戸惑い気味のカミシノではあったが、電話を掛けてきた理由は、彼女のある相談事。つまり、カミシノ案件あんけんだった。彼女の相談は、こうだ。

「私の友達が何者かに取りかれた」と…。

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