DIE2話 救済理由

「なんで、私を助けたの」

 この言い方は、流石さすがに失礼だと思ったけれど、この疑問が一番かも知れなかった。

『救済理由?正直に言うと、えん大王様のルールだから…』

「閻魔大王様って、あの閻魔大王様?」

『そうそう、あの閻魔大王様。』

「それじゃあ、あなたは…」

『俺は、餓鬼がきだよ』

餓鬼がき?」

『そうだよ。こっちの世の中では、俺のことを死神と呼んでいるらしいけど、本当は閻魔の餓鬼だよ』

 そう言いながら、歩道橋の欄干に寄りかかった礼服姿の少年は、フトコロから黒いライターと葉巻煙草を取り出して火を点けた。蚊取り線香のような独特の淡い匂いが辺りに漂う。

「あなたの名前は、なんて言うの?」

『オレ?俺の名前は、カミシノ ユウスケ。とは言っても、地獄にちる前の前世での名前だけどね』

「けれども何故、あなたは地獄に堕ちたの?」

 私は、無意識のうちに愚問を口走ってしまった。

『なんで人間ヒトってのは、みんなして俺の前世を知りたがるのかなぁ…。まあ、いいよ。そんなに知りたいのなら、喜んで教えてあげる。俺の天荒てんこう話を…』

 カミシノ少年は煙草で一服しながら、私の質問を見透かしたように答えてくれた。

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