謎の少女リラ

しっかし、平和な村だ。

名前をつけるなら、『平和ピース』かな。


「あなたが、冷凍保存されてた勇者ですね!」

「見ない顔だ、誰…?」


見たことない人だなぁ…。


「やだなぁ、ずっと前から住んでますよ! 名前はリラ! よろしく!」

「あたしは朝霧カラス、よろしく…」


オレンジのショートボブだけど、可愛いなっ。

女のあたしでも思う、このリラって子はモテる。


「どうして、この村に来たんですか?」

「なんとなく…かな? 逆襲した近くの村がたまたまここだったんだ」

「逆襲…凄いなぁ」

「結局、勘違いだったけどね」


この娘、不思議…。


「それじゃあ、私はおじさんのパイン作り手伝ってきますっ」

「頑張って!」


おじさん大変そうだなぁ…手伝わないけど!


「おっおい、ちょっといいか…?」


なんだよ、グラディ…。


「あのリラって娘、何か変だやめとけ…」

「なぜそう言い切れる?」

「ゴブリンの予感って奴だ」


視線が嫌にマジだ。


「……分かったよ、それほど近づかない事にする」

「聴いてくれてありがとな、工事中のゴブリンに指示を送ってくる」


めっちゃゴブリンに慕われてんな。


仕方ない 、ご飯は夜まで食べれそうにないし、疑問の答えを探すとしよう。

悩みもせず、市長の部屋に向かった。




「あー、市長居る?」

「なんだね、まだ不満があるのか」

「いや、あの時脅したのは悪かったと…」

「もういいさ、今はこうして役に立ってくれている…けど」

「けど?」

「時々ゴブリンがズボンを引っ張り下ろしてくるんだ」

「……ぷっ」

「笑うな…」


そうか、なら良かった。


「謝りに来ただけじゃない、そうだろ?」

「もちろんだ」

「少し、コーヒーでも飲みながら話そうか」

「悪い、普通にパインジュースで頼む」

「パインは大量にあるからな、良いだろう」


しかし、広い部屋だなぁ。


「聞きたい事は…なんだね?」

「実は…リラって娘は、ここに永住してるの?」


「……なんだ、そんな事か。 永住なんてしとらんよ…ただの観光客だ」

「……ふぅん、そう」


「もう、終わりか?」

「まだある」


聴ける時には聴く。


「…いや今回はいいわ、ありがとう」

「おいおい、俺はシェンロンじゃないぞ。何回でも聞きにこい」

「もちろんだ」


聞きたい事はこれだけだったので、パインジュースを飲み干して、後にした。

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