復讐のカラス

復習(復讐)の寄り道

また1人…か。

別に嫌じゃない。ただ…


少しでも人の側に居るというのは…。

あの時、死なないって言ってたのに…


「いや、死んでない」


声がする方向に振り向く…が、そこにクラナドの姿は無かった。


「これが…デスペナルティ…」


まったく、厄介な呪いにかかったもんだな。


そうだ、ゴブリン村に行く前にこの村で準備しよう。


「なぁ…知ってるか?あの女、ゴブリンを1振りで消し去ったらしいぜ…?」

「まじか!そりゃすげーな!」


ヒソヒソ話が聞こえる。無論、気にはしない。


「この武器と鎧を鍛錬してくれませんか?」

「いいけどよぉ…」

「…?」


武器屋なのに話を出すのか?


「ちょっとお手伝いしてくれんかな?」

「どういう意味?」


「実はな…いや、また今度来てくれた時にお願いできるかな?」

「わかった、この村を出て、用事を済ませたらすぐ向かうと約束する」


なぜ、こんなめんどくさい願いを受けなければならないのだろうか。でも、使命感は感じていた。


「1時間したら、ここを出る。それまでピカピカにしてくれないか?」

「早業だからなぁ…?」

「ありがたい」


料金は手伝うってことで無賃らしい。出世払いって奴か。


流石に人間なのでお腹は空く。

必然的にお店に入るのだ!


「トンカツ定食とパインサラダお願いしまーす」

「あいよ!」


トンカツは世界を救う。そんな時が来るかもしれない。

…まぁ、あたしの胃袋を救ったのは紛れもない事実だが。


「普通に美味しいわぁ…」

「それは良かった」

「おい、なんでそんなに暗い表情してるんだ? 普通はニコニコするんじゃ…」

「感がいいな、でも部外者には関係ないぜ、楽しんでくれよな!」

「おっ…おう」


なんだよ…部外者だからって手伝ったら行けないのかよ…!


食べ終えると金を払って店を出た。

後は、村に向かう為に武器を受け取って…ね。


「おっさーん!磨き終わった?」

「もちろんだぞ!」

「まじかよ、銀ピカ…?」

「そうだ、気合を込めて、銀スプレーしといた」

「魔除けってか…ありがとう」

「まぁいいってことよ…」


鎧をつけて、剣を2本背中にかけるととてもかっこよくなった。

死ぬわけには行かないんだ…!


「いってくる」

「行ってらっしゃい」

「オレの仇、取ってきてくれ」


なんだよ、こんな時まで幻聴かよ。

もう…騙されない。


振り向かずして歩いたのだった。

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