仲間が死んで良いのは最終章だけ

不穏だ…何かあってもおかしくない…!


「うわぁぁ!逃げ…ギャァ!」

「なんで…なんでぇぇ!!」

「うえーん…ママ…」


雨と同時に悲鳴が降り注ぐ。

まさしく、絶望を具現化した様な…。


「うそだろ…待ってろ!」


雨の中、あたしは息を切らせながら、モンスターの頭上へとダイブする。


「ああぁぁぁ!!」

「ケケッ!?」


落下の力も相まって、ゴブリンと思しきモンスターは綺麗に半分になった。

いやもう、ゴブリンで。


「雑魚が…」

「ケケケ…!」


向かってくるゴブリンを大剣で頭からカチ割る。


「もっとかかって来いよ!」


すると10匹くらいまとめて飛びかかってきた。

…バカじゃねーの?大剣様だぞ…?


「縦一列に並んだゴブリンを一撃で薙ぎ払う。


「ケケ…ケ」

「もう終わりか…」


でも、ゴブリンは不気味ににやけていた。

そうとも知らずに、血に染まった剣を背中に掛ける。


…そういや、クラナドは…。

周りを凝らして探す。霧のせいで、ほぼ見えない…。


ーー見えた!シルエットだが、クラナドとボス3人と思えるゴブリンが…!

向かおうとした時。


クラナドから、血飛沫が上がった様に見えた。

そんな…! え?嘘…だろ?

主役級がこんなに早くも…?


「くそぉ…!絶対に逃さない!」

「お前が…俺たちに勝てるのかぁ?」

「余裕だ」


走りながら、1本の血みどろの剣をぶん投げて、1匹始末する。


「親方ぁ…すまねぇ…」

「お前…!くそ…よくも!」

「そして!お前もだぁぁ!!」


もう1匹の親分ではない方を一撃で真っ二つにする。


「親父ぃ…」

「あぁ、分かっておる…」


「勝ち気になっていたお前の姿はお笑いだったぜ?」

「オレの子分を殺した罪は重い!死んで償えると思うなぁぁ!」


しかしまぁ、弱い勢力だなぁ…。


「はぁぁ…!『デスペナルティ死のリスク』!」

「なんだ…!?」

「オレは…死んで償えなんて言っていない…お前は死ぬまで、時間過去と未来に苦しめられろ…」


「なん……だと…?」


ゴブリンは笑みを浮かべて死んだ。

そんな事を気にしてる場合じゃない。


「クラナド?大丈夫か?」


意識はない…これじゃあまるで…


「ただの屍のようだ」


くそぉ…!

ーーおい、いまさっき喋ってないか?


「…」


空耳だったようだな…。


「…ちょっと、ゴブリンの組織を消してくる」


復讐の鬼は呪いと戦利品と共にゴブリンの村に向かった。

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