脚⑪
ミシッ。
影になって、見上げれば彼女が微笑んでいる。
「ぁ…ぁ…」
「月島さんって、足早いのに逃げないんだね? ローズウッド君が動けないから?」
どうして?
どうして?
「もう一度聞くよ? 月島さんとローズウッド君がここに来たの知ってる人は?」
ボクは首を振る。
「そう、じゃ、後でローズウッド君に聞くね」
彼女は腕を振り上げた。
その手には、いつの間にかハンマーが。
ゴッ。
ゴキッ。
ガッ。
ビシャ。
ベッチャ。
ベッ。
ベッ。
目の前が真っ赤になる。
ボクは、ケントの手を握ったまま床に倒れたけれど止まらない。
骨が砕ける音g s …
ごめっ…
けn tお
ぼ、ぼkのs
ごm…
つ tお む…ごめn…
mい か…逃げて…!
ブブブブブブブ…。
ボクのポケットでスマホが震えてた気がした。
◆
ガリガリ。
ゴリゴリ。
「ふぅ~一休み一休み~~~♪」
あ~あ~…やっぱりお風呂場は真っ赤。
それにまた廊下も…そうならないようにママの薬をアールグレイにいれたのに…何がいけなかったんだろう?
温度が高すぎて上手く効かなかったのかな?
「ようやく一本かぁ…」
私は、お風呂場のタイルに寝かせた脚を見る…今は血まみれだけど、洗ったらキレイになるよね?
「♪」
今回は、貰ったメスで断面がキレイだしノコギリを入れるのは骨だけだから胴や腕に比べたらとても早い。
「ぁ…よく血を抜かないと…でも形が崩れないようにしないと勉くんの脚みたいに失敗しちゃう…」
こういう時、どうすれば良かったけ?
「でも、その前に…」
私はお風呂場から出て、おじいちゃんの部屋に行く。
「教えてくれる?」
そこには、ロープで縛って口にガムテープをしておいたローズウッド君がいてギッて睨んでいる。
困ったな…多分、あの子の事だと思うけど早とちりはいけないよね?
「こういう時の方法習わなきゃ…」
私はパタンっとおじいちゃんの部屋の戸を閉めた。
◆
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます