Pert.15 謎の地下室
「真美ちゃん!」
草太の声がした。
その声に、
「真美―――!!」
地下室の広さは十畳くらいはあるだろうか、だだっ広い感じがする。
部屋の隅っこにパイプ製のベッドが置かれていた、その上に手足を縛られ、
俺は急いで真美の元に駆けつけると、猿轡を外して、大声で呼び掛けた。
「真美! 真美! おーい! 大丈夫か?」
息はある。どうやら気を失っているだけらしい。ケガはなさそうだ。
蒼白い顔で横たわる真美がこんなに小さな女の子だったなんて……その時、俺は初めて気づいたんだ。真美……こいつだけは絶対に失いたくない!
こんな無抵抗な真美を見て、俺は泣きそうになっていた――。
「うわぁ―――!!」
突然、草太が大声を上げた。
「ど、どうしたんだ!?」
「ヒロシ君、あそこに人が……」
震える手で指差す方向には、身体を捻じるような不自然な姿勢で人が倒れていた。スーツを着た男のようだ。
地下室は草太のライトと裸電球がひとつだけ天井からぶら下がっているだけだ。かなり薄暗く視界が悪い、どこかに換気口があるのかファンが回る音がする。
天井までの高さは3mくらいか? 床も壁も天井も全てコンクリートで固められた、殺風景な、まるで牢獄か地下シェルターのような部屋だ。
葛西先輩が近づいて行って、確かめようと懐中電灯で照らして見ている。
「田村教頭だ……死んでる」
えっええ―――!? さっきまで、体育準備室で奈津子先生と***をしていた田村のスケベおやじが死んでるって?
俺の頭はショックでパニックになりそうだ。この学校の中に殺人者がいるってことなのか? 今さらながら恐怖で顔が引きつった。
ヤ、ヤ、ヤバイ……真美を連れて、ここから早く逃げ出さないと――マジでヤバイ!
「ああ……あぁ……」
今度は葛西先輩がヘンな声を発した。
「……これは千夏の自転車だ」
部屋の片隅に赤い自転車が置かれていた。
これが千夏さんの自転車だとしたら……彼女はこの部屋に居たってことなのか?
「千夏、どこだ? どこへ行ったんだ――!?」
コンクリートの壁を拳で叩きながら葛西先輩が大声で叫んだ。
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