第四十九話 加速する凶行
――???視点――
とりあえず、復讐の一つは無事に完了したな。
ニュースとかにもなったけどさ、俺の名前とか出されてないでやんの!
そりゃそっか、監視カメラ類も思いっきり焼いてやったんだ、何も残る訳ないな!
あっ、でも警備会社とかに映像が送信されていたらどうしよっか。
そしたら向かってきた奴等を全員、殺せばいっか。
今思えばそこまで問題じゃねぇな。
さて、今夜中に是非復讐したい人間がいる。
こいつを殺さない限り、俺は気持ちよく寝れそうにない。
家とかはちゃんと調査済みだ。
今日の為に抜かりはないさ。
さぁあいつは、どんな風に死んでくれるかな。心が踊る……!
松本駅から歩いて二十分の所にある住宅街、これがあいつが住んでいる家だ。
いやぁ、なかなか裕福そうな家に住んでいますねぇ。いや、間違いなく金持ってるな。
裕福な育ちだけあってか、あいつは外面はいいけど、内面はヘビースモーカーの肺位に真っ黒だ。
そして俺にも相当遠慮なかった。
だから俺も、遠慮せずに復讐してやる。
今は夜の九時、当然玄関は鍵閉まってるだろうな。どれどれ、試しに……閉まってるな。
なら正攻法で行くか。
俺は玄関の扉横に着いているチャイムを押す。
押してから数秒後、チャイムの横にあるスピーカーから声がした。
『はい、どちら様でしょうか?』
「夜分遅くに申し訳御座いません、田島運輸です! お宅宛に荷物があります」
全くのデタラメだ。
何だよ、田島運輸って。
咄嗟の嘘に、内心自分でも苦笑しちまう。
『はーい、今開けますね!』
あっさり信じた!
うわぁ、どれだけ平和ボケしてるんだよ、あいつの母親。
奥から走って向かってくる音がする。
ガチャリと鍵を開けた音が鳴り、扉を開けた。
「お待たせしましたぁ、あれ? お届け物は?」
出てきたのはあいつの母親だろうか。歳の割には若々しいが、厚化粧をしている印象を抱かせる。
それにしても、なかなか耳と首元に高そうな宝石をぶら下げているなぁ。ザ・成金って感じだよ、全く。
決めた、全員殺した後に金品全部奪ってやろう。
そしたらしばらく遊んで暮らせるだろうし。
ま、とりあえず返答してやろうか。
「どうも、お届け物は炎です!」
「……は?」
まぁそういう反応だよな?
だけど、事実なんだよねぇ。
俺は指を鳴らして、ピンポイントにとある臓器を発火させた。
その臓器とは、脳みそだ。
炎が外へ漏れ出さないように、だけど脳みそだけを一瞬で炭にする火力で燃やした。
結果は、熱が頭蓋骨に伝わったのだろうか、額が茶色に変色してしまった。
恐らく皮膚が焼けてしまったんだろうな。
俺もまだまだだ、この能力を使うのは。
とりあえず脳みそを焼いたら、体をびくんと大きく震わせて、前のめりでバタンと倒れた。
うん、痛みは一切ないはずだ。安らかに死んでくれ。
俺は玄関に入り、靴を脱いで家に上がった。
お邪魔しますとか余計な一言は、今はなしだ。
俺はリビングと思われる場所を目指した。
多分だが、そこには父親がいるはず。殺しておいた方がいいな。
え~っと、多分ここかな?
俺は扉を勢いよく開ける。
すると、座り心地良さそうなソファーに大の字になって座っている中年男がいた。
こいつがあいつの父親か。
「何だ貴様は! 勝手に人の家に上がって――」
「はいはい、うるさいな」
俺は父親の頭を指差し、「ボンッ」と呟く。
すると、奴の頭は肉片を方々に飛び散らかして爆散した。
頭部がなくなった元人間の父親は、そのままバタンと倒れた。
うへぇ、首の断面が見えちまう。
でも案外気持ち悪くはないな。
さて、あいつの部屋に向かうかな。
確か二階にあったはずだ。
俺はリビングを出て、すぐ近くにあった二階への階段を足軽に上る。
二階に上がると、四つのドアがあった。
でもドアに名前が書かれた札が掛けてあったから、この部屋があいつの部屋だ。
さぁ、感動のご対面だ!
俺はあいつの部屋のドアを蹴っ飛ばして、勢いよく開けた。
「きゃっ!? 誰よあんた!」
はんっ、腹黒がいっちょ前に可愛い悲鳴を上げやがって。
これが今宵のメインディッシュ、葛城 彩乃だ。
正直に言おう、俺が高校の時に惚れていた相手だ。
俺は勇気を出して告白をした。
だが、振られてしまった。
それだけだったら、俺は復讐なんて考えない。
この女は、当時付き合っていた彼氏を利用して、俺をサンドバックのように殴りまくった。
そしてクラスの皆の前で俺のズボンを下ろして性器を露出させ、ひたすら罵倒したんだよ。
短小だの包茎だの、ひたすらね。
こいつのタチの悪かったところは、まずは容姿だ。
学校一の美少女という事で有名で、様々な男から告白をされていた。
艶がある綺麗な黒髪、整いすぎて溜め息が出る顔立ちに力強い目。スタイルもスレンダーで肌が白い。まさにモデルと言われてもおかしくなかった。
最後に極めつけにタチが悪いのが、当時の彼氏が暴走族のリーダーだった事だ。
彼氏が出てきたら誰も逆らえないし、いなくても変な事を言えばリンチに合う。
だから、彼女が何をしようが、誰も何も言えなかった。
俺は、ただ好き勝手殴られ蹴られ、罵倒を浴びるだけだったんだ。
俺の心には、こいつをいつか殺そうという復讐心で染まっていった。
そして今日!!
やっと、こいつを絶望させた後に殺す事が出来るんだ!!
さぁ、復讐開始だ。
俺はふんぞり返って椅子に座っている葛城の腹部に蹴りを入れた。
「かふっ!?」
盛大に床に倒れたこいつは、何が起こったのかよくわかっていないようだった。
そりゃそうだ、俺の顔を完全に忘れていやがる。
「何するのよ……!」
「何って、復讐だよ」
「復……讐? 私は、誰かに恨まれる覚えはないわ!!」
ほっほぅ、自分がやった事を覚えていないとな?
ほう、ほう、ほ~~~~~う?
なかなかに俺の復讐心に燃料を投入してくれるような事を言ってくれるね。
ムカついたから、少し痛い目にあってもらおうかな。
俺は葛城の髪を掴んで、顔面を殴った。
まだ反抗的な目をしているから、もう一度殴った。
おっ、少し弱々しい目になったな。でもまだ好みじゃないからもう一度殴る。
すると、ついに折れた。
折れるの早いな(笑)
「さて、俺は誰でしょうか?」
「し、知るわけないでしょ」
「あ? その口の聞き方は何なんだよ?」
「ひ!! あ、あなたの事は知りません!」
「ほぅ、じゃあこれを見たらわかるかな?」
俺は机を指差す。するとその机が燃え上がった。
そう、クラスメイトに存在を知られ、全員から虐められた自然発火能力。
こいつは何度もそれを正義と掲げ、俺を毎日痛め付けてきたっけな。
さぁ、思い出せよ。
「あ、あんた……まさか」
「はい正解」
う~ん、その驚きの顔はなかなかいいね。
そそるからちょっと彩りを加えよう。
俺は葛城の右人差し指の爪を燃やした。
「ぎゃぁぁぁぁぁぁぁぁっ、熱い、熱いぃぃっ!!」
おお、美少女が上げる悲鳴じゃねぇな!
すっげぇいい気味だぜ!!
思いっきり手で叩いて鎮火させようとしているけどな、それは消せないんだよ。
水に浸けても燃えるっていう、俺の最強の炎だ。
まぁまだまだ絶望に至るのは早い。俺は指を鳴らして鎮火させてやった。
「という訳で、あんたに復讐しに来た。ストレートに言うと、地獄を見せて殺す為に来た」
「ふぅー、ふぅー!」
「そんなに熱かった? ごめんごめん。あんたへの恨みのせいで火力調整出来ないんだわ」
「あんた、私にそんな事していいと思ってるの? 私の彼氏、誰だか――」
「知るかボケ」
俺はもう一度こいつの右人差し指を焼いた。
また床に転がって悶絶している。いやぁ、絶景だね!
「た、助けて……」
はやっ、命乞いはやっ!!
俺としてはもうちょっと楽しもうとしたのに、はぁぁ、興ざめしちゃうなぁ。
まぁいいや、さくっとやっちゃいますか。
「ん? 死にたくないのか?」
「しに、たくない……です」
「じゃあさ、俺の言う事何でも聞く?」
「聞く、聞きます! だから、殺さないでぇ」
「はは、俺もそこまで鬼畜じゃないから、俺の言う事聞いてくれたら助けてやるよ」
葛城は少しだけ安堵した表情を見せた。
だけどその後、その顔が精神的苦痛に歪む事になる。
そりゃぁね、昔虐めて見下していた男に犯されるんだからさ。
ははっ、これだけの美人なんだ、殺す前にじっくり楽しんでやるさ。
ふぅ、一時間で四回も逝ってしまった……。
俺、早漏だったんだな。
まぁいいや。俺が気持ち良かった訳だし。
それで今、葛城家からの帰り道だ。
結局あいつをどうしたかって?
そりゃ決まっているだろう。
葛城 彩乃を強火で焼いて、人の形だとわかるような状態で炭にしてやった。
俺があいつの命を助ける訳がないだろうよ。
犯し終わった後の「これで助かる」っていう表情から、絶望に染まったあの顔。
マジで最高だったぜ!!
あぁ、いい夢を見ながら眠れそうだ……。
――アタル視点――
「むにゃむにゃ、由加理ちゃん……」
――アデル視点――
「うーん、夢可さん……」
――由加理視点――
「……んっ、あっくん……」
――夢可視点――
「あぅ……アデル……」
――四人同時――
「「「「……大好き」」」」
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