第2話覇者の覚悟

細長いテーブルに料理が運ばれてくる。

手際よく並べられた料理たちは、次々と白いテーブルクロスを彩った。


ほかほかと湯気を上げる肉料理のスパイスの匂い。

窓の外は既に暗闇に閉ざされており、時折鳴くふくろうの声とテーブルに料理の皿が置かれる音以外聞こえない。


王をはじめ、貴族や大臣、その他全員の前に料理が置かれた。

王が料理に手をつけると、それに習い周りの人間も料理に手をつける。

僕は目の前の沢山の料理の1つを皿に取ると、口に含み噛み締めた。

行儀よく、マナーよく。

食堂は食器がぶつかり合う音すらしなかった。


王が、スープに手をつけた。

綺麗な黄橙色をしたコーンスープを、ゆっくりすする。

半分ほどすすった所で器をテーブルに置き、パンをちぎって食べようとする王。

次の瞬間

崩れ落ちた。

手のひらに握られていたパンが床に落ちる。


あたりは騒然となり、立ち上がって王に駆け寄る者も出てきた。


僕は流れる人々の間で動けなくなっていた。

王が死ぬなんて、そんなこと、

目の前がゆらゆらと揺れる。

どうすれば王を助けられる?

僕は……

僕はまだ、王の器じゃない……

僕は、人の流れに逆らい、人気のない廊下を走った。




向かう先は、城門。

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