紅い世界

 夕暮れにはヒグラシの歌がよく似合う

 飲みかけのポカリスエットを飲み干して

 もう一度坂道を登る


 まだ昼の名残が残る大気に

 すうっと涼しげな風が流れ込む

 流れた汗も乾いていく


 一番星、いつの間にか輝いていて

 潮騒に迎えられ恥ずかしそうに

 陽は暮れたけどまだ明るいね


 恋人達は今頃愛を語っているのかな

 何でもないこんな日が一生の思い出になっているのかな

 景色なんて目もくれず相手の顔ばかり見ているのかな


 僕は一人ひたすら走る

 そこに意味なんて見つけずに

 どうせなら知らない所まで行ってみたい


 誰も居ない田舎道

 曲がりくねった峠道

 普段入らない道に迷っていこう

 ぐるぐる回って行き止まり


 明日の事なんて夢の中で考えるさ

 今は頭の中空っぽのままで

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