通過儀礼



 見上げる雲は段々夏のそれに変わっていく

 色を濃くした雲に境界線をなくしていく景色

 波音に別の意味を付け加えて


 そして突然に風は止む

 雲たちは寄り添ってお日様を隠し

 影がいつの間にかいなくなっていた


 もう一面灰色の支配下だ

 どんどん空が落ちてくる

 流れる汗が頬を伝って地面に跳ねる時


 かえるのうたがきこえてくるよ…


 一斉に落ちてくる天の恵み

 田んぼに波紋が広がっていく

 早苗が嬉しそうに踊ってる


 少しくらい濡れても平気だけど

 内側から滲んでくるカッパが鬱陶しくて

 ああ、でもこの雨は止みそうにない


 いつも水不足なんて脅すから

 今年はたっぷり注いで欲しいけど

 闇夜に歌う彼らほどには喜べないよ


 水溜りを弾く音が耳に気持ちいい

 家にいる内はいくら降っても歓迎するさ 

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