きれいな水

 かつて魔法が使えた頃

 それを信じる人は沢山居て

 それを恐れる人は沢山居て


 風を起こし 雨を降らせ 嵐を鎮め

 大いなる者と語らっていた古の昔

 人と精霊はまだ近いところにいた


 見える人が減っていったのか

 聞こえる人が減っていったのか

 いいえ、そうではありません


 人が増え、色とりどりの風船が空の彼方へ

 もう全てを受け止められなくなってしまった

 指の隙間を流れ落ちていく純粋な心


 分担された役目は けれどそれ以外を無口にさせる

 多くのものを押し付けて自分達は知らん顔

 いつまで忘れたフリをしているつもり


 風の言葉を聞くあの人を

 霧の彼方を見つめるあの人を

 波の向こうを恐れるあの人を

 山の頂きに祈るあの人を


 どうかいない人にしないで

 私たちの分まで背負ってしまったあの人たちを

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