夜行性の記憶

 太陽のカケラ頂いた

 優しい布団に支配され

 身動き取れずに夜は更け

 何も知らない朝を迎へる

 それもまた一つの幸せのカタチ


 静寂が支配する

 主の居なくなった街

 星に負けないくらい賑やかに

 それは淋しいネオンのしじま

 

 余りにも健気

 どうしようもなく空しく

 どんなに派手に騒いだって

 それを見る人は居ないと言ふのに


 ネオン管の無機質な音だけ

 全てが寝静まった世界で

 涙が出そうになるには何故


 やがて空が白む頃

 景色に溶けてネオンは沈む

 静けさは活気にかき消され…


 こんな風景を昔はよく眺めていた

 その場に立つと浮かぶイメージは

 まるで心の中が無限に広がるみたいに

 何処までも何処までもキリがないほど


 誰も居ない山道を帰る時

 ふとそれを思い出したりもする

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