団体戦3
あー、やられたか。
足場のおぼつかない森をようやく抜け、そこにはリーダーが居るはずだったんだが……オレ達の前に立っているのは得意げな顔をしたリオと4人のクラスメート。
リオと他の4人の腕には腕章は付いてない、つまりーー
「まんまとやられたなー」
「バカルナ!」
「んだと!?」
そもそも作戦立てるのはオレの柄じゃないし仕方ないだろ?
「俺もルナとライトとやり合うのは正直嫌だったけどね」
「まあここまで来ちまった以上は仕方ねぇ!やってやろうじゃんかよ」
「ハァ……それもそうだな」
思わずため息が出る。オレとライトが正面から来るって事まで読まれてたんだなぁ。
ここにくるまでにぶつかった相手が5人なのは流石に少な過ぎる。少しは疑うべきだった……けどもう引き返しても遅いだろうからライトの言う通りやるしかない。
人数的には5対2で不利。けどランク的にはこの勝負は貰ったも同然。それに森を迂回してる奴らもいずれ来るだろうし。
リディアには申し訳ないが、何とか向こうは向こうでやってもらうとしてオレ達はここで暴れさせてもらおう。
「ルナ、あの4人は任せた!」
「は?」
案の定と言うべきか、ここに来てまで正面突破を試みるバカが1人。
任せたって言われてもなぁ……適当にやればいいか。
「ライトニング」
ライトに気を奪われている4人に向けて放った魔法。景気付けにと思って使ったんだが、予想に反してそれは4人全員に直撃。あっという間に2対1の状況が出来上がる。
「げっ!」
バツの悪そうな顔をしたのはリオ。流石にこの展開は読んでなかったみたいだな。
見事にやられて転移の魔法が発動して消えていく4人を恨めしそうな視線で見ているのが分かる。
オレの作戦をパーにしたツケだ!きっちり払ってもらおうじゃんか。
「ライトニング!」
お馴染みとなっている魔法が走るライトの軽く追い越してリオに迫るが当然避けられる。
だが2対1、ここで一息つける余裕はあげないぜ。
リオが避けた先に待っていたのは遅れてやって来たライトの拳。
剣があるから剣で攻撃すればいいものを何故か拳。
更に大振りなせいでこれも避けられるが、そこにも待ち伏せとして土の棘が。これに手をかざして炎と相殺させたのを見届けてオレは動き始める。
リオの周りは砂が舞い上がり視界が悪いはずだ。
「スパーク」
ただの電撃じゃない。いつもよりも数倍魔力が凝縮された濃い魔法。
それが砂埃が舞う視界の悪い地帯に居るリオの身体を貫く。
「がはぁぁぁ!!」
「ナイスルナ!いくぜっ!」
「おい、いいとこ取りする気かよ!」
地面が突然勢い良く盛り上がりレオの身体は跳ね返される様に宙に放り出された。
オレの攻撃によって力を失っているリオがそこから態勢を立て直せるはずもなく、今度こそライトの拳がリオの鳩尾にクリーンヒット。
「ぐぅ!」
息苦しそうな声を上げて地面に叩きつけられたリオは既に意識は無い。
「やったぜ」
肝心のフィナーレを持って行きやがったライトはガッツポーズ、オレはため息をついて腰に手を当てた。
とその時、この勝負に勝ったオレ達を祝福するかの様に花火が打ち上がり飛散する。
「よっしゃあ!」
「いやいや、Bチームが勝ったって事だろ?」
「え、そうなの?」
まさか本当にオレ達の祝福の為の花火だとでも?ハゲジジイがそんな演出する訳ないっての。
「レイアとアリスもリディアの所にとっくに着いてるだろうからな。オレ達がリオに圧勝したんだから向こうだって2人がリディアに圧勝してもおかしくない」
なるほどと言わんばかりのアホ面を垂れ下げているこの野郎はどうしてやろうか。
「Aチームのリーダーがやられた為、この勝負はBチームの勝利とする!みんなその場を動くなよ、今から転移でここまで送ってやる」
辺り一帯に響き渡ったのはハゲジジイの声。やっぱりAチームの負けか。
まあ仕方ない。メンバー的にはほぼ互角でも作戦でこっちが遅れを取りすぎたんだから。
つまりオレの責任か……後でリディアくらいには謝っとこう、ハァ。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます