波紋

@ich15

第1話 見たことあるもの

そこは、限りない可能性の眠る海の底。踊る海藻に眠るサンゴ。そこには陽の目を見ることのない思い出たちが集まっている。私はそっと手を伸ばした。なんだかわからない黒いのが入った空き缶。とりあえず、上の方にほってやった。ぷくぷくと泡を立てながら上昇していくその屑は、水面に浮かび上がって水面を少し揺らしてから消えた。そうしていると不安が消えていくような、そんな気がした。

目が覚めた。朝になって学校へいく。てくてくと、たゆみなく歩いた。学校へはだいたい10分くらい。その間、たくさんの知らない人が通り過ぎる。つくと教室にはすでに3人ほどいた。なんとなく目を伏せながら、自分の席に座って席の位置と机の位置を整える。筆箱を机の左上から上下1センチずつ内側に寄せて待機させる。なんとなく、完璧に思えたので、一息ついた。あと授業が始まるまで15分くらい。少しずつ生徒も集まってきた。どこで群れてくるのだろう、みんな平均して3人づつでまとまってあらわれる。確かに楽しそうだけど、そこまでして群れたいとは思わない。そうこうしているうちに、先生もきた。そろそろ授業が始まるみたいだ。私はそっと筆箱を開けて、シャーペンを取り出し、ノートを開いた。今日はこの教室をモデルに描こうと決め、ペンを走らせた。

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