私に勇気をくれた人 最終回
「…僕も、最近断片的に夢に見てた」
「…ロシアから来た内気で気弱な女の子の夢」
「名前、思い出せなかったけど…今なら思い出せるよ」
ジェイソンはふわりと笑った。
「その子の名前は…ケルシー、ケルシー・ニールセン」
ゆっくりと私の側に来たジェイソンは、私をぎゅっと抱きしめてくれた。
「…約束、守ったよ」
あの時と変わらない、優しい笑顔。
記憶は一気に蘇って、懐かしさと嬉しさ…そして、寂しさから、一気に涙が溢れ出した。
ジェイソンの服をぎゅっと掴んで、ただただ大泣きする私。
それを優しく頭を撫でながら落ち着かせてくれるジェイソン。
「…ただいま、ケルシー」
「…っ、おかえりなさい、ジェイソン」
どうにか泣き止み、思い出した懐かしい話に花を咲かせた。
その中で、不意に紡がれた言葉。
「…ケルシー、好きだよ」
私はびっくりして顔が熱くなって、何故かジェイソンを見つめてしまった。
「あ、えっと、無理にとは言わないし、返事はいつでも良いよ」
ジェイソンも顔を赤くして、首筋を軽く掻いていた。
照れた時の、ジェイソンの癖。
「…私ね、気づいたことがあるの」
思い出して、今があって、気がついたこと。
私の、正直な気持ち。
「ずっとジェイソンが好きだった、って」
側に居てくれて、優しくしてくれて、笑ってくれて、勇気をくれた。
いつからか、好きになっていた。
昔からなのか、今からなのか…それは、少し曖昧なのだけど。
「そっか、ありがとう…ケルシー」
「こちらこそ、ありがとう…ジェイソン」
ふわりと笑うジェイソンと、つられて笑う私。
私達は静かに手を重ね、音楽室を後にした。
そして、皆に質問攻めにされたのは…言うまでもないよね?
マイペースくんと内気ちゃん こびと @hsmlove
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