私に勇気をくれた人 ⑥

次の日、昨晩のこともあって少し遅めに目が覚めてしまい、慌てて用意して家を飛び出すように出て、スクールバスに乗り込んだ。


バスに乗り込んだ時には運動苦手なのに走ったから、軽く汗をかいて息を切らし、肩で息をしていた。


その所為で既にバスに乗っていたジェイソン、テイラー、ジークに何があったのか、と軽く心配されてしまったけど…。


学校では別段何もなく、普段通りだった。


強いて言えば、昼休みにジークがチャドに投げたバスケットボールがテイラーの頭に当たって、勘違いしたテイラーがチャドにキレて、皆が爆笑したぐらい。


家だと何故か授業中のジェイソンみたいに宿題中に寝てしまうから、音楽室で宿題を済ませようと音楽室に入る。


そこには、何故かジェイソンがいた。


「…ジェイソン」


私が呼ぶと、普段通りの優しい笑顔を向ける。


「やあ、ケルシー…君の居場所がわからなくて、つい音楽室に来ちゃったんだ」


ジェイソンはあはは、なんて笑う。


「えっと、用事は?」


私が尋ねれば、ジェイソンは真剣な表情をして。


「…ケルシーの、夢の話が聞きたくて」


ジェイソンは私の手を握り、ゆっくりと手を引いて。

私はゆっくりとジェイソンの隣に引き寄せられた。


私は静かに昨晩、鮮明にみた夢の話をした。


話し終わってふとジェイソンを見れば、何故か少し顔を赤くしてて。


「ジェイソン、顔真っ赤!大丈夫?」


私が尋ねれば、ジェイソンは「大丈夫だよ!」って笑った。


そしてジェイソンは私をじっと見つめた。


「君の話を聞いて、確信が持てたよ」


「…か、確信?」


私がびっくりした顔をすれば、ジェイソンは穏やかに笑った。


「…君が、僕が小さい頃に“約束”した女の子だ、って」


…小さい頃の、約束…?


「小さい頃の…その、約束って何?」


私が尋ねれば、ジェイソンは少し考える素振りを見せてから、ゆっくりと話し出した。


「いつか必ず、ケルシーのところに絶対に戻ってくるよ…約束だよ」


鮮明な夢でみた、男の子の言葉。


それをはっきりと口に出すジェイソン。


私はただただびっくりして、固まってしまった。


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