第6話 潜入捜査
死神治安維持機構。
このゲヘナを牛耳っていると言っても過言ではないこの組織はゼロの少ない情報だけではどれほどのものか予想できなかったが、中に入ってみてそこにいる死神と眷属の数からして巨大なものだというのを
「意外といるな。それに街じゃ見かけない青い制服のが多い感じだな、ここは」
どうやら制服の色です役割が違うようで街でよく見かける黒い制服のは稀にしか見えない。
「うむ、しかしここで一体何をしているのか気になってしまうな」
「目的を忘れるなよ。俺たちは犯人の手掛かりを探しすために来てるんだ。無駄なことして見つかるのだけは勘弁だ」
「分かっている。しかし、ここは意外に広くて見つけるのにも一苦労だ。検討はついているのか?」
「ゲヘナにいる眷属の数は相当なものだ。その情報をまとめようとするなら大きな倉庫に保管してあるはず。それも大切にな」
「となると警備が厳重なところが狙い目ということか。でも、何故地下に」
「お城とかだと地下に食料とかあまり使わない物をしまってたから、ここでもそうなのかと思ってな。思ったより警護は手薄だからハズレかもだけど」
「お城? クラウンは生前一体なにをしていたのだ」
「気にするな。そのうち話す……ってヤバい! 隠れるぞ」
咄嗟にジャネットを押して近くにあった部屋へと入る。
「な、な! いきなりどうしたというのだ」
「俺の担当の死神がいた。見つかると面倒だからここで通り過ぎるまで待ってようと思ってだな。こうなったのは不可抗力だ」
入った部屋は物置部屋で人二人が入るのには狭く、密着した状態にある。
気のせいかジャネットは動揺して頬を赤く染めている。まあ、性格はあれだがこいつ女性ということか。
「う、うむ。分かっている。クラウンがこんな時に破廉恥行為に走るような男ではないということは」
破廉恥行為か……。
残念というか何というかジャネットは頭以外の部位は鎧に包まれている。無論、胸もだ。
そして俺の目の前にあるのはその胸なのだが、感じられるのはジャネットの体温ではなく冷たい金属の感触。
息を潜めてゼロが通り過ぎるのを待つことに。
「む、プルート殿」
「おい、静かにしろ。ここでバレたらアウトだぞ」
潜入だけでなく、俺的にもだ。
こんなところで異性といたと知られたらゼロはどんな顔をするだろうか。
「済まない。私の担当もいたのでつい」
「治安維持機構の死神でないにしろ俺らは黙って事件を追ってるんだ。それを知ったら担当でも止められるぞ」
「そうだろうか? プルート殿なら許してくれそうだが」
随分と甘いようで羨ましい。隣の花は赤いと言うが今更変えろと言っても無駄だろうな。
「そっちは良くてもこっちは堅物でね。ほら、通り過ぎたから出るぞ」
鎧の冷たさと狭さでもう我慢の限界だ。
扉を開けて新鮮な空気を吸い込む。
「しかし、まさか私とクラウンの担当が知り合いだったとは運命的な何かを感じるな」
「たまたまだろ。それより急ぐぞ。誰もいない今がチャンスだ」
ここでゼロとプルートという死神が何をしていたかは知らないが、それを気にしている暇はない。二手に分かれてそれらしいのを探すことに。
「なあ、クラウン。さっき気になったのだがここじゃないのか」
探し始めて数分、ジャネットが先ほどゼロたちに見つからないようにと隠れ場所と選んだ部屋を指差した。
「じゃあ、確認するか」
部屋の前にある看板に目がいく。そこには『眷属情報保管庫』と書かれていた。
「確認するまでもなかった。ここがそうか。それにしても死神のネーミングセンスを疑うなこれは」
しかし、探す手間が減ったというのはすぐにでも出たいこちらからしたらありがたいことだ。
早速、扉を開けて物が雑多に置かれた部屋から犯人の手掛かりを探すことにした。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます