第16話新居と安心



あれから三日後、俺はボロい2階建ての小屋にいた。というか住んでいた。

「はあ~。あれ?あんた起きるの早いじゃない」

2階からエクスが眠そうに降りてくる。下の階はダイニングとキッチン、上の階は狭い部屋が4部屋ある。1つの部屋は物置として使い、後は自分達の部屋として使っていた。

「というか、お腹減ったわ。早く何か作りなさい」

「お、何か作るのか?タクマの料理は美味しいから期待大だな」

ふざけんなよこいつら、ポンコツの癖にただのうのうとニート満喫しやがって。

どうしてこうなった。というか、誰もが気になっているだろう。どうしてナンバニアの領地を荒らしまくった俺が貴族の称号を得たのかを。


ここナンバニアとアマトランは同盟国だと言っていた。それはあっているのだが、ナンバニアは半分アマトランに乗っ取られている状態だったらしい。それは“五人勇者ペンタゴン”というアマトランの最高戦力に脅され、政治や食料輸入など全てアマトランに利があるようなやり方にされていたらしい。

そしてクルシスはその五人勇者の一人だったらしい。それを倒せる俺をナンバニアの貴族として扱うことにより、今までのような動きがアマトランは取れなくなるらしい。

それじゃあファーストの件はどうなるのか。ファーストはアマトランの軍治街だったらしく、ファーストにはアマトランの軍人しか居なかったらしい。要するにナンバニア的にはあそこは破壊して欲しい対象だったらしい。

なんというご都合主義だろうか。


まぁ何にせよ俺は内に秘めていた計画自体は成功させた。俺への追撃をやめさせ、安定した生活を手に入れること。だから俺は国の破壊ではなく、乗っ取りを選んで居たのだ。


まぁなんだかやっとプロローグが終わった感じで異世界ライフを満喫できそうだ。


「ほら、出来たぞ。これは俺の世界に伝わる“カレー”という料理だ」

まぁ考え事してる間に、仕込んでおいたカレーが出来上がったので食卓に並べる。

「なんなの?この泥みたいなの。ホントに食べれるんでしょうね?」

「君、私達が前から使えないとか言ってたからとうとう殺そうとか思ったんじゃないだろうな?」

「食べないなら今日の飯抜きでいいか?」

「「いただきます」」

二人は恐る恐る一口食べ、そのあとは無言でがっついていた。


しかし、貴族の称号を得た俺は国の税金で生活できる。さらにこの家も無料で貰ったものだ。正直目的もない今、何もすることが無いわけで……。

「俺もニートになりそうだ」


コンコンっ

ドアをノックする音とともにドアが開かれる。

「破壊卿タクマ殿、至急王城へお越しください。何でも国王クアトロ様から緊急で伝えたい事があるそうです」

まぁすることないとは言ったけど……。

「面倒事はごめんなんだが」

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異世界転生して初っ端エクスカリバー手に入れたが扱いに難あり。 田間庭 炭酸水 @tamaniwa0000

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