第12話破壊狂と謎の男3
俺は巨大なクレーターの真ん中にいた。
始めた場所…………そうか、ここは始まりの街ファーストの跡地。なるほど、始めた場所で終わらせる。笑えない冗談だ。
俺は反撃しようにも体が動かない。動くはずもない。全身骨も全て破壊されている。
破壊狂とか呼ばれながら自分が破壊されるとか、ホントに笑えない冗談にも程がある。諦めて死を────
「さて、楽にしてやるよ破壊狂。つっても楽に死ねるとか甘ぇ考えは起こすんじゃねぇぞ?じっくりなぶり殺しにしてやる」
「…………だ……」
「あ?」
「いや……だ!!死にたく……ない!!」
死を受け入れる。そんなの簡単にできるはずがない。一度は死んでいる、しかし、だからこそ死にたくないもう二度と!
「ざけんじゃねぇ!!」
白髪の男は俺を踏みつける。何度も何度も。痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い。死ぬ死ぬ死ぬ死ぬホントに死ぬ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ。
「てめぇが何人何千何万の命を奪ってきたかわかって、んなくそみてぇなふざけたこといってんのか!?笑わせんじゃねぇ!!てめぇ死んだやつの前で同じ言葉が言えんのか!?」
これは天罰なのか?なんならこいつは神かなんかなのか?ちげぇだろ。お前は俺に自分の怒りを押し付けて俺と同じ事をして、自分の優位を保ってるだけだろ。自分の行いは正しいと自分自身に言い聞かせてるだけだ。しかしそんな思いはもう伝えることも出来ない。
「これは俺の勝手な考えだが、てめぇみたいな何の努力もしねぇで力を手に入れて悪に手を染める野郎が一番嫌いなんだよ俺は!!こっちは何十年何百年苦労して努力してやっとここまでの力を手に入れたってのにてめぇみたいな奴等は!!」
くそ、どうしてこうなった。なんでこんな苦痛に耐えなきゃいけないんだ。楽になることも叶わない、ただ苦痛に耐えるだけ。苦し過ぎる痛すぎる、俺はこんな思いは誰にもさせてないだろ。痛みも与える暇もなく倒してきた。そう考えればお前の方が悪人だろ。
どうしてこうなった。エクスを引き抜いたから?いやあれは俺の不注意でこうなったんだ。じゃあ誰のせいにすればいい?俺のせいか?いや、答えはもっと根本にあるだろ。そう、こいつが俺を踏みつけなきゃ、俺を蹴らなきゃ、俺は痛みを感じずに済む。こいつだ、目の前にいるこいつさえ居なきゃ。
「最後に殺したやつの名前くらいは教えてやるよ、俺の名は“クルシス”。ハーフエルフ最強の男だ」
クルシスは俺を踏みつける。
「あ?まだ体が動くのかよ?タフにしても限度があんだろ」
俺はその足を受け止めていた。
「…………せいだ、全部」
「あ?なんだよ?」
「お前の……せいだ、全部全部全部全部!!お前が!!」
俺はそのままクルシスを投げ飛ばす。
「くっ!?なんだてめぇ?どっからそんな力……」
クルシスは驚いた。彼の骨が元通りになっていることに。傷口が綺麗さっぱり無くなっているのに。
「再生……した……だと?」
「忠告してやる。お前、ホントに只じゃ済まさないから。後悔とかしてももう遅いから遺書でも書いといた方が良いぞ?」
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