第7話聖剣と盾

なんだかイカツイおっさんが空から降ってきた。こう言うときは、美少女が空から降ってくるものだと相場が決まっている物だが、この世界ではやはりご都合主義みたいなのが通用しないところがある。でなきゃ初っ端聖剣で街を破壊なんてことは、なかった筈だ。

「見つけたぞ“破壊狂タクマ゛お前を倒して賞金と名声は俺のもんだ!大人しく殺されろ!」

「おい誰だよその破壊狂とかいう異名つけたやつ、マジでセンスねぇからやめろ」

俺は警戒しながら一歩後ろに下がる。オッサンは盾を構えて近づいてくる。

(ん?後で寝てる金髪の女…。まさかエクスカリバー!?やめろ!?わたし達で敵う相手ではない!!)

ん?盾から声が聞こえるぞ?しかし、オッサンは反応するわけでもなくじりじり近づいてくる。まさか聞こえるのは俺だけか?

「おい、そこの盾。お前エクスを知っているのか?」

(当たり前だろ!というか私の声が届いて居るのか?)

「ああ、お前名前はあるのか?」

「おい!!なにベラベラ喋ってやがる!?」

(やめろ!!刺激するな!!)

なんか聞こえないのわかってて止めにはいるとか笑えてくるな。

「うるせぇよオッサン!俺はそっちの盾と話してんだ邪魔すんな!!」

「なんだと!!」

「うるさいわね!!あんたたち人が寝てるところ犬みたいに吠えないでよみっともない!!」

涎を垂らしながら起きるエクス。

「お前この盾と知り合いか?」

「知らないわよ、私眠いから静かにしてて」

「“エクスカリバー゛」

俺がそういうとエクスが剣の形になり、俺の手に入ってくる。

「な!?女が武器に!?エクスカリバーだと!?」

ん?なんだ?このいい方。まるで俺がエクスカリバーを引き抜いたのを知らないような言いぐさだ。

「なんで、驚いてるんだ?」

(あんたね、要するにあのオッサンは神器を持てる素質がないの。素質が無いものには私の魔力は見えないのよ)

え?じゃあ森で見た魔力で見つかるの心配してたの俺だけか!?確かに魔力静めるのはこれが限界ぐらいの話しかしなかったしな…。

「というか、あの盾喋るんだが神器じゃないのか?」

(私は神器だ!!私はイージスという名を持っているぞ少年!盾盾言うのはやめろ!!)

すると盾(イージス)が、自己紹介しながら怒ってくる。

(うるさいわねこの女、早く切っちゃってよ)

「まぁ切るからお前を聖剣の姿にしたからな」

「さっきから一人でペラペラ!この盾はイージスと言って最強の盾だ!!例えエクスカリバーと言っても絶対にきれ」

「話長ぇよ!!」


また俺は森を破壊した。


しかし────


「ふっはっはっはー!!その程度か!?」

オッサンは盾を構えて余裕の表情だった。盾は無傷だ。

「これでその程度とか言えるあんたすげぇよ。んで、あんたは次をどう止めるんだ?」

「…ん?何を言っている?また同じようにイージスで」

「足がないのに踏ん張れるのか?」

「……え────」

彼は気づいていなかった。自分の足がなくなっていることに……。

「─────ぁあああぁあぁあ!!!」

オッサンはのたうち回っている。彼は言うなれば信じてしまったのだ、イージスなら耐えられると。しかし、大柄なオッサンの体全てを隠しきるのはイージスでは不可能だった。つまりはみ出ていた足は綺麗さっぱり塵すら残ることなく消え去った。

やはりこの世界ではご都合主義者など通用しないのだ。

「さて、お前は俺を殺そうとしたんだから文句はねぇよな?」

「や、やめてくれ!なんでもする!俺には家族が」

「はい、ドーーン!!」

命乞いを途中で消し去り、周囲全てを消し去った。

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