第6話夢と現実

殴りかかってくるエクスを何とかなだめて静めた。その代償に半径100mくらい、森を更地にするハメになった。こいつを怒らせるとホントに洒落にならないな。扱いに困る。



俺は有害物質きのこ意外のキメラみたいなやつらを石で潰してミンチにし、木の棒に巻き付け魔法で火をつける。

「それ、あんた何してるの?あと私が取ってきた山菜捨てないでよ!!」

「ふざけんな、俺はあんなもん食えねぇよ。食うなら一人で食え。あとこれは、俺の世界に伝わる“つくね゛という料理だ。調味料がないから味が無いのは我慢しろ」

俺は、向こうで生活してるときは母親の家事の手伝いをしていたため、大抵の料理は作れる。親様々だな。死んでから感謝することになるなんて思いもしなかった。


俺とエクスは潰した分のつくねを全て平らげた。そして寝るのはやはり順番で見張りをすることになった。エクスは、料理を作ってくれたお礼だといい、先に俺を寝かせてくれた────




──ここはどこだ?

目の前に立つ赤い髪の少女。彼女は顔を埋めて泣いている。

「おい、どうして泣いているんだ?」

彼女は返事をせずただただ泣いていた。顔は手で隠されて見えない。

「泣くなよ、どうしたんだ?」

やはり返答はない。俺は手を伸ばし、彼女の頭を撫でてやる。あれ……?

どうして俺の手は真っ赤なんだ?これは血か?誰の血だ?

その時頬に湿った感触が────




「……。あ、夢か」

最悪な夢を見るもんだな、これは死んだときの夢だ。あの赤い髪の女の子は、きっと俺が助け損なった犬の飼い主だろう…。

「つか……」

頬の湿った感触が残ったままだった。そして腕がなんだか重い。

俺は寝ながら横を向く。

「こいつ……」

エクスが隣で寝ていた。よだれを垂らしながら。要するにこれはこいつの涎だ。いい顔しながら寝やがって、自分の見張り当番サボって……。

「仕方ないな……」

俺はエクスに上着をかけてやり見張りを代わる。

しかし、この森は夜だと獣の魔力を感じない。ここの森の獣は、夜行性ではないらしい。だからこいつ寝てんのか。いつもなら叩き起こして説教してやるんだが、なんだかあの夢を見たあとだとどうもその気もおきない。

「はぁ……。ホント調子狂うし扱いに困る聖剣だよ……」

俺は頭をかきむしりながら空を見上げた。星が綺麗だ。ん?空から魔力を感じる。鳥でも飛んでるのか?

その魔力はどんどんと落下するように俺のいる場所に近づいているのがわかった。

「見えねぇな。“神眼”」

俺は、神眼というスキルを発動して視力を最大限高めた。なんだ?人か?つか武器持ってね?ってことわ!?



ドンッ!!!!



物凄い轟音と砂煙を撒き散らしてその人は俺の目の前に現れた。

「見つけたぞ犯罪者」

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