第3話 酒場騒乱.その3

 いきなりの出来事に戸惑うジミーと俺だが、機関銃を持った男達六人組は、今ここにいる。決して酒の影響で見える幻覚ではなかった。今から俺は本当に一世一代の大仕事に打って出る。俺は話し掛けてきたグラサン男にける。

「ジャック・ザ・ペッパーはここにいませんよ」

「それは本当なのか?」

「だよな。ジミー??」

 俺の口調で察したのか、ジミーも口裏を合わせてくれた。

「お、おう」

「そいつは今、どこにいる?」

「インブレイク地区にいると思います」

「それは本当だな?」

「はい。神にちかって」

「おい、お前達三人はインブレイク地区にむかえ!」

『了解!』

 グラサン男の号令の下、男達の内三人は店内から出て行った。

「残った二人は表と裏を見張れ!」

『了解!』

 店内に残った二人も表玄関と裏非常口に張り付かせた。店内にはグラサン男だけが残っている。

「あのー。一杯だけでも、お酒を飲みませんか?」

「お前、人質の分際ぶんざいでマスター気取りか??」

「あのマスターがのこした良い酒があるんですよ」

「おい、お前!」

 ジミーが制止するも、俺は話を続ける。

「スコットランドのキャンベルで貯蔵されていた幻の百年物ウイスキーが‥」

「ほぉう。本当にそれがあるなら見せていただきたい品物だな」

「あのマスターが隠している場所も分かりますよ」

「本当かぁ?嘘じゃないだろうな?」

「本当です。神様にちかいます」

「それじゃあ、そのウイスキーを見せてもらおうか」

「その前にウイスキーのマスターキーが必要です。倒れているマスターが持っていると思いますが‥」

「それじゃあ、その鍵を取りに行け。下手なマネは、するんじゃないぞ!」

「はい」

 俺はカウンター席を立ち、手を上げながら倒れているマスターに近づいた。マスターに近づくと俺は、どさくさにまぎれてマスターのみゃくを測った。すると何とか生きていた。どうやら、気を失っているだけの様だった…。

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