第2話 酒場騒乱.その2

「おいおい、何の冗談だよ‥」

 俺は唖然あぜんとした…。

「しかし伝説のお前が一世一代の暗殺に失敗するとは殺し屋の神様も無慈悲むじひだよなぁ」

 あわてて俺は黒い手帳を開いた。何ページ開いても、そんな予定は書いていなかった。

「俺じゃない!」

「でも、お前は毒殺専門だろ?」

「俺は今までの任務で、百合ユリの毒なんて一度も使ったことがない」

「それじゃあ何で、お前が犯人なんだ?」

「分からない‥」

 テレビの報道に困惑する中、酒場の玄関では怒鳴り声がする。

「またかよ!しかし、マスターのおやじさんも大変だなあ。」

 ジミーがめ息をついていると突然、玄関側から銃声がした。その瞬間、店のすみに置いてあったブラウン管テレビの画面にヒビが入りショートしながら、ブラックアウトした。

『なんだ!』

 俺とジミーは顔を見合わせる。

「お客様、お逃げ下さい…」

 後ろを振り向くと、マスターのおやっさんが血を流しながら玄関の床に倒れていた。

「おやっさん!?」

 ジミーと俺が、おやっさんを助けに行こうとした時だった。黒服の屈強な男達が店に入って来た。手には、機関銃を持っている。すると、真ん中にいるグラサンの男が店内にいる客に低い声で話かける。

「おい、ここら辺にジャック・ザ・ペッパーという男はいるか?」

 だが、あいにく店内には俺とジミーしかいなかった…。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る