第1話 酒場騒乱.その1

 事の発端ほったん、つまり俺自身が御令嬢毒殺未遂(実質、暗殺未遂)の犯人に仕立て上げられている事に気づいたのは、同業者であるジミーと酒場で酒を交わしていた時だった。


「お前も偉くなったもんだ」

 べろんべろんに酔ったジミーが絡んでくる。

「まだまだ、だよ‥」

「俺にはる勇気なんかねえよ」

「なに言ってんだよ。ジミーも同業者だろ」

「ちげーよ。どこの依頼主に頼まれたかは知らないが、お前がロンドン1いちの一家に手を掛けるなんざ大したもんだよ」

「寝言は寝言で言えよ。HAHAHAHAHA‥」

「ほら、観ろよ」

 ひじをつきながら酒場の一角にあるブラウン管テレビに向かって指を差したジミーが一言つぶやいた。

「あれ、お前だろ?」

 テレビ画面には緊急指名手配犯と書かれた俺自身の顔写真が流れていた…。

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