壱章

何度も何度も繰り返し、巡るこの気持ち。

あの日の私は空っぽになった。

小4の春、『行ってきます』の言葉で母は姿を消した。

逢いたかった。心の底から逢いたかった。

その頃から学校は休みが増えていった。


大好きなお母さん、行方知れずになって1年という月日が流れた。

無言の時が流れ去っていった。

時間とは無情なもので、母の安否も分からないまま猛スピードで過ぎ去って行った。


小5の夏、突然現れた母。嬉しかった半面、戸惑いも隠せなかった。

久々に逢えた母は、私の目に格段と綺麗に写った。


私は母と1年間の月日を埋める様に必死に着いて行った。

そして、祈る。もう二度と突然の別れが訪れぬ様に。


母と再会して、間もなく父と母は夫婦をやめた。

どうしても私は父と母の子供をやめることが出来なかった。

父と母は別々の道を歩み始めたのちも度々逢うことがあった。

その度に、嬉しくて楽しくて仕方なかった。


そして私は、母の女を知る。

自分の気持ちなど無いように、身体を預ける。

見ず知らずの男性と繋がる。

私はそんな母と男性を見て見ぬ振りしてはその場を我慢した。


その中の一人の人に私は気を許してしまう。

そして傷付き、女を知る。

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