昨日(2)

母に彼氏が出来た。私の心の中で何かが変わる。

現実を壊してしまおうと思った。全て消えて無くなればいいとさえ思った。


私が高校生になった直後、日常は非日常に姿を変化させる。

義父との関係が狂いだす。関係をもったきっかけは記憶から削除された。

その後も続く狂った世界は、防衛本能と崩壊願望。


義父の機嫌が良くない日は、身体で誤魔化す。

娼婦の様に身体で欲しい物を手に入れる日々。

そんな時間が何年も続いた。私が社会人になってからも続く狂った世界。


学生の頃と違う、貴方に女の心が恋をする。

自分の身体が汚く穢れたモノになっていることに気付く。

手遅れだった。気持ちの無い繋がりに汚された身体は元には戻らない。


後悔する。恋に落ちて、人を愛して、自分の犯した罪の大きさに苦しめられる。


愛した人に『遊びでもかまわないから』と言える愚かさに失望し、絶望した。


私の生きてきた世界は小さくて、それゆえに罪を重ねて・・・他人事の様に過ごしてた。


そのくせ、愛した人に愛されたいだとか、幸せになりたいだとか、御託を並べる。


そんな中、出逢った人の子供が出来た。


私のお腹には一つの命。そして私の苗字は母と別々になった。

一つの自縛から開放された気がした。

今までの娼婦の様な世界から抜け出せた安心感。

そんな世界から救ってくれた人に私は身を任せようと心に決めた。


私は何事もなく安産で命の重みを実感した。

様々な出来事の中で沢山、過ちを犯しては後悔を繰り返し1人の母となった。


そして見えてくるものがある。

母の気持ち、母の想い、親の責任、親の役割、

私の歩んでた世界は遠過ぎて、


今、大きなプレッシャーとなって私を苦しめる。


さぁ、物語の始まり。

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