第4話―はじめての会員規約

 マッシュは差し出された申し込み用紙を読んでみた。


・プロフィール

本名(秘匿)

ニックネーム(必須・表示)

年齢(必須・簡易表示)

誕生月(必須・表示)

種族(必須・表示)

性別(必須・表示)

住所区画(必須・区画のみ表示)

職業(必須)

通信番号(所持していたら必須)


(以下、入力、表示、任意)

年収(銀貨約●枚〜●枚)

交際ステータス(既婚・未婚・恋人有・恋人無)

かっこよさ(星5評価)

セクシー度(星5評価)

おしゃれ度(星5評価)

かしこさ(星5評価)

スタイル(星5評価)

金持ち度(星5評価)

やさしさ(星5評価)

自由コメント(枠に収まる程度で自己アピールしましょう)


「多いな……」


「ああ、だから基本は★の自己評価がメインなんだ、1から全部考えるのは面倒だろ? 自由コメント以外を埋めてくれれば10ラブポイントをサービスだ」


「……」


 マッシュは申し込み用紙とにらめっこしていた。


「どうする?」


「入会する……」


「ありがとうございます」


 青年は別の用紙を差し出す。そのわら半紙には文字がびっしりと書き込まれていた。


「なんだこりゃ?」


「会員規約ですよ。読んで了承していただく必要があります」


 青年は敬語で事務的に言った。


======================

会員規約

本規約は、会員が遵守すべきことを規定していま

す。


①本サービスの利用者は会員とし、この規約はす

べての会員さまに適応されます。

②規約は弊商会都合で加筆修正されます。

③このサービスは王国法を遵守し、反社会勢力な

らびに政治団体の排除を明確に遵守します。

④本会員は男性は指定申し込み用紙を窓口に提出。

女性は指定申し込み用紙をポスト及び窓口に提出

した時点で会員として登録したものとします。

⑤会員が誤った個人情報で登録した場合、内容を

王国および冒険者ギルドの関係部署に通告し、退

会処分にする権利を有します。

⑥会員間のトラブルには一切関知いたしません。

⑦会員はいつでも退会する事が出来ます。

⑧自然災害、戦争、反乱、魔物被害等、本サービ

スの提供が難しくなった場合、事前の通告なく中

断・停止する事が出来ます。

⑨本サービスに関する一切の紛争は、74区冒険

者ギルドを第一審の専属合意管轄の協議機関とし、

ガルドラゴン王国法を準拠法とします。

======================


「う……読まなきゃダメか?」


「はい」


「どんな事が書いてある?」


「簡単に言えば、嘘をついたり、他人を騙したり、傷つけたり、誹謗中傷しないように、など、常識的なことが難しく書いてあるだけですよ」


「難しくか?」


「えー、難しくというか、誤解の無い文章にしてあるってことです」


「そうか……」


 マッシュはしばらく読んだフリ・・・・・をする。


「読んだ読んだ」


「それでは……」


 黒髪の青年は無言でインクとペンを取り出した。


「どうぞ」


 マッシュは無言でそれを受け取った。


======================

プロフィール


本名(秘匿)

マッシュ・レリック

ニックネーム(必須・表示)

すまっしゅ

年齢(必須・簡易表示)

32歳

誕生月(必須・表示)

8月

種族(必須・表示)

人間

性別(必須・表示)

住所区画(必須・区画のみ表示)

74区画若草色4番通りの若草荘204号

職業(必須)

ガルドラゴン王国所属・警備兵

通信番号(所持していたら必須・非表示)

613B5513


(以下、入力、表示、任意)

年収(銀貨約250枚〜280枚)(表示)

交際ステータス(恋人無)(表示)

かっこよさ(★★★☆☆)(表示)

セクシー度(★☆☆☆☆)(非表示)

おしゃれ度(★★☆☆☆)(表示)

かしこさ (★★★☆☆)(表示)

スタイル (★★★★☆)(表示)

金持ち度 (★★★★☆)(表示)

やさしさ (★★★★☆)(表示)

自由コメント(表示)

長く王都に住んでいる。

ずっと一人暮らしだ。

もしここで本当に仲良くなってもらえるなら

ぜひ恋人を作りたい。

======================


 こうしてマッシュは新たな出会い掲示板の会員となった。

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