第23話 放ってみるは・・・
作業場へと赴くまでの道のりは、昨日と同じ市場とも呼べる道筋からは少し外れた通りを歩いており、昼近くから時とはうって変わって、荷運びでごった返して
その見受けられる
そんな中を歩いてみてはいるのだが、自身の身長においても他のそういった種族の大型な
そうなると、気にしてしまうと気にはなるもので、聴覚に意識を持ってどの様な事を言われているのかと、聞き耳を立ててみれば「でけぇ・・・」「でかいな・・・」「ああ、デカイ」「巨人族って奴か?」「まさに巨大だな」という、大きさに関する声ばかりを聞き取っており、確かに、この周囲からは頭一つ分飛び出している身長だと、そう思われても仕方がないかと、その活気のある場所を通り過ぎていった。
港区の倉庫街
その倉庫街の先に港湾工事の事務所があるのだが、視線が気になっていた時の状態から、レーダーに映りつづけている2つの存在がいる事が気になっていた。
しかもそれらは付かず離れずな距離を保ち続けており、ワザと道をマチガエタ風に装ってみたりとしてみるも、きっちりと一定距離を保ち続けて付いてきていた。
これは確実に自分へ何かしらの意識があるのだろうと解るのだが、それらがどういった物なのかが判断つかないでいた。
なにせ、先日までそんな事はまったく無かったハズなのに、今日に限っていえばこういった尾行まがいな事をされているという始末で、何かしらの思い当たる事があるとすれば、先日の肉祭りぐらいしか思いつかない。
それ以外にはこれっぽっちも思いもつかないし、ここまでつかづ離れずを徹底されてては、下手に刺激を与えたりしたらメンドクサイ事になりそうな予感を感じてしまう。
それならば、相手が動き出さない限りは放置確定でいいかとは思うのだが、何も知らないままどこのだれかわからない
仕方ない、少し動くか。
倉庫同士の合間にある隙間的な通路に入り、メニューから"call"を意識して選択、さらにその中から"hyou”を選ぶ。
選択すると、昨晩のシーと同じく眼の前に作られた光の輪の中から出てきたのは、黒豹の様な恰好をしている機械姿の動物であった。
その大きさは、大人一人が普通に通れるこの通路幅より少しばかり小さい程度であるが、見た目といえば黒色を基調としてた四足型の獣の格好をしており、その所々の継ぎ目などには赤い
また、その背には
特に陸上における強行偵察を主眼に置いた機械動物とでもいう存在として意匠を凝らし続けた結果、名前を考える時点で思考能力はとうに力尽きてしまった為、そのままモデルとした動物の名"ヒョウ"としたのは秘密の話である。
その呼び出したヒョウといえば、こちらの姿を確認すると
「アーネスト様、お呼びでしょうか?」
とてもとても礼儀正しく挨拶をしてくる黒ヒョウという存在であった。その目は言葉を話すたびに光っていた。
動物系のロボキャラって、やはりこういうのが一番しっくりくる。特に、自分が会話してます的な視覚効果があるから余計に解りやすい。決してメタ的な事だからという訳でもないのだが、あと、これぐらいの礼儀正しさを
っと、今はそうじゃない。
「呼出して早々すまないヒョウさん、どうやら尾行してると思われる奴らがいるみたいで、それらの動向偵察を頼みたい」
「排除ではなく、偵察……ですか、それならば、私よりも
「あー、
ここでいう
ヒョウさんが陸、オタカさんが空、といった感じで固めてはいるのだが、いかんせん現在の2ndキャラにおいて重砲戦なんてする事が無いに等しい為に、呼び出してみる理由も特にはなかった。
「確かに、3つほどそれらしいのを確認しました」
「ん?3つ‥‥?2つじゃ?」
「センサー感知範囲に極僅かな歪が一か所検知されました。
それが人為的な阻害であると判断できる為、もう1つ存在すると思われます。
そうなると、確かに
この2ndキャラではそこまで感知能力は上げてはいない。しいて上げる物とすれば水中においての事だけであり、そこならば負ける自身は無いのだが、その外れた1人という存在に関しては完全に解らない状態であった。
わかるわからないどちらにせよ、陸上に於いての索敵能力としてはヒョウの方がやはり性能は2ndキャラよりは上である為、その言葉はまず間違いないだろう。
「なら、その姿を隠しているのを重点にして、その他は上手くやっておいてくれ」
「了解しました」
そうヒョウが言ったかと思えば、その姿を背景へと溶け込ませていった。
これはステルス迷彩という奴であり、視覚情報をシャットアウトさせる機能である。ついでに言うと、先ほどの歪を検知と言っていたのは、ECM・ECCM機能も搭載している為、そのECCMを働かせたのだと思われる。
そういった機能をつけている理由としては、この機械生命体でインフレしてしまったボスクラスとの戦闘において、純粋に生き残る戦法をとるには"見つかる前に殺れ""近づかれる前に殺れ""反撃されない位置から殺れ"という三大"殺れ"鉄則みたいなものが通説状態であった為に、超長距離から仕留めるのが苦肉の策という方法しか取れないという状況があった。
その為、そういった個々人が持つセンサー検知距離よりもさらに遠い場所、つまり遠距離の攻撃を正確に当てる為には、狙撃の場合はスポッター的な観測手が必要になるのだろうが、そこは機械生命体。砲撃というさらに長大な射程を持つ兵装が扱えるために、地平線の向こうまで狙えるという代物を使わざる得なかったのである。
普通に考えれば、専用の衛星などの観測方式でもあるならばまだしも、開拓惑星などにはその様な個人用の情報衛星など存在しない。
そうなってくると、代替案としては自身からは見えない相手に対しては高高度の上空からの観測情報をも元にした砲撃を行う形になる。
ただし、それだけでは情報不足に苛まれる為に、時として対象に接近しての敵情収集をとる必要がある。だがそれは、被弾するというリスクが伴ってくる。
それならば、被弾しなければ良い。という単純な手段で対応する為に、隠密・回避型としての
その姿を視覚情報から消しさったヒョウといえば、「では…」というセリフと共にタンッという地面を蹴る音がしたと思えば、もうその周囲にその存在がいるという認識が無くなっていた。
さてと、それでは餌となる自分は知らぬ存ぜぬで事務所へと向かいましょうかと、倉庫間の通路から表通路へと戻りその歩みを開始した。
その際、確認したレーダーには、今度はしっかりと3つの光点と、1つの
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