第21話 連れてみるは・・・
どうしようもないぐらいの駄目すぎる
「もう、朝ですよー、起きてくださーい」
という元気印をそのまま体現しているとでもいうべき少女が、騒音製造マシーンを停止させるために勤しんでいた。
「あ、アーネストさん!おはようございます!昨晩は
「あ、ああ、おはよう」
そんな中、こちらに気づいたのか元気よく挨拶をしてくれたのだが、色々とという点に色んな意味合いが含まれているような、無いような、そんな気がしかけたのだが
「お姐様?あの子は誰なんですか?お姐様に近づく害虫か何か……ゴァ」
先ほどの挨拶の合間という気を許した一瞬において、いつの間にか自身を壁にし、まるで壁から除き出る格好の様なのだが、それでいて相手からは見えない所では臀部をその手の平で堪能している
「痛いです…お姐様…」
「痛くは無いだろ」
両手で脳天を抑えている
そんなやり取りを見ていた元気少女はといえば
「あの…そちらの子はお連れの方ですか…?そうなると、ご宿泊はお二人という事だったのでしょうか?」
その元気少女は笑顔ではあるものの、その言葉にはプロ的な何かしらの勘定計算が始まっているかの如くであり、ある意味、逞しいなと感心するとともに、前金の予算で足りなくなるよな、という懐具合の不安へと陥れてきていた。
「ま、まぁ、そうなるが…昨晩の
「
ここでいう
「私だけじゃ判断できないので、おかーさんと相談しておきます。それからで良いですか?」
「ああ、よろしく頼んでほしい」
「わっかりました」
と元気よく返事を返してくれた元気少女は、再び騒音装置を排除させるべく今度は井戸水を使用して冷却させるという手段におよびだしており、「さっさと家に帰ってください!仕事の邪魔です!」と、なんというか、逞しいなぁという印象をさらに受けてしまう状況になってきていた。
そんなやり取りの後、すぐ傍では殴られた部分をさすりながら、こちらの様子を伺う恰好になっていた
「えっ?あの?お姐様?宿泊費っていう事は…代金が足りないのですか?」
「お前の分がな」
「えっ?えぇっ?」
こちらを見上げながらも、驚いた格好で聞いてくるので、状況を完結に説明する事にすると
「今までの通貨が使えないからな、今の手持ちだと食費も考えればカツカツに近い」
「そ、それじゃぁ…」
「シーには、すぐに帰ってもらわないと不味いかもしれない」
「えぇぇ!!お姐様に会えなくなるのは嫌です!断ります!断固拒否です!」
「そうは言うが、金銭がな…」
「ぐぬぬぬぬ‥‥」
サポートとして呼び出すという行為は可能という事なので、帰還させる事も可能なのだろうと思われる。もともと、VRMMOの時でも、呼び出せば召喚という形で現れるし、帰還そ指示すれば再び帰っていく存在でもあったのだが、帰りたくないという主張をしてくる存在としては、次の言葉は予想の範囲内ではあった。
「な、なら、私も宿代を稼ぎます!それなら、お姐様と一緒にいられますよね!?」
まぁ、そうなるな。という印象でしかなかった。
なにせ食費も含めれば宿代をけちらなければならないほどに切羽詰まってきている状況で、さらに一人分を捻出するのはかなり厳しい状況でもあったのは事実である。そうなると、そういう話になるわな。というのは想定の範囲内である。
ただ、働くにしろ、自身が結構手間がかかった事を考えれば、この
「働き先なら、うちで働かない?丁度人手も欲しかったのよね」
こちらの話の途中から会話に入ってきたのは、いつの間にか現れていた元気少女を
「ほ、ほんとうですか!?」
「アーネストさんに、だいぶ懐かれているみたいだし」
「そうです、そうなんです!帰りたくないです!お姐様と一緒がいいです!」
おいそこ、自分で認めるな、そして意気投合するな。それから抱き着いて何気に相手から見えない場所を揉みくだすな。
それよりもだ。「あんな小さな子を放り出すって?」「ひでぇなぁ…」「慕って来たっていうじゃねーか、そんな子をねぇ…」「家出したっていうじゃねーか」「そんな子を放りだすってのか?」「マヂかよ‥」
と、いつの間にか騒音装置から野次馬へ転職した見物人が増えており、その口々からは、妄想から推測された内容と、先ほどから「お願いです、お姐様!お傍にいさせてください!!帰りたくありません!」という内容を大声で懇願している姿を見てしまえば、あっけなくも外堀が埋まってしまえば、周囲からは冷たい視線を投げかられてくる始末であった。
どこからどうみても酷い人というレッテルを張られることでしか、勝てる要素が見当たらない。まさに、世論は怖いな。という事を再認識した後、
「わかった、わかったから…好きにしろ」
と、敗北宣言を告げるしかなかった。
その敗北宣言を告げた途端、周りから歓声ともよべるモノが上がっていた。
「ありがとうございます!お姐様!!」
「嬢ちゃん!頑張れよ!応援するぞ!」
「おう、俺も応援するぜ!」
「ありがとうございます!みなさん!」
周りの男たちと、
だが、その歓声が投げかけられている最中、小さいモノではあったのだが、はっきりとした音声を自身の聴覚はしっかりと拾っていた。
「
と。
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