第19話 依頼をしてみるは・・・

「ハァ…そろそろ離れろ‥‥」

「ハァ‥‥ハァ‥‥ハァ‥‥もう少し、もう少しお姐様成分を……」


 表現的に同じ文字に見えそうだが、こちらのため息とは真逆の意味合いにしか受け取れない内容の呼吸音をしっかりと放つ人型のモノ。


 種族としては、自身が大好物である機械生命体として制作しており、リペア特化型支援サポートユニットとして制作したNPCキャラなのだが、2ndキャラの時だけまるでたが外れたかの如く、本当にNPCなのかと疑問が起きるぐらいに、感情的というか…情熱的というか…性的な嫌がらせセクハラ的とでもいうか…なぜにこうなる?という摩訶不思議な変貌をする支援サポートユニットキャラクターことSee”シー"である。


 自身が育てたサブキャラの一つには、リペアやリカバリー能力というか防衛に特化したキャラクターを育ててはいるのだが、それだと自分と自分以外しかそのリペア対象に出来ない。それにドクター的なモノというか、どちかというとマッド的な要素も含まれていたりするモノだからあまりお見せするものでもない。そこで、通常のソロプレイ時の支援サポートユニットとして、そういったことを対応させるべく製作して育ててはいたのだが、



「そろそろいいか?」

「プハァ!満タンです!感無量です!もう何が来ても怖くありません!」

「そうか…、それは良かったな…」

「はいっ!」



 改めて自身の前に立ち直るシー。

 改めてみるが、頭部のナース帽をもしたバイザーが顔の上半分まで覆いかぶさる形になっており、女性らしさを見た目でわかりやすくするために後頭部はロングヘアーの人工毛にしており、それを大きなリボンでまとめている。

 顔といえば機械生命体だがリアルな口が存在してはいる人型にしてあり、看護師風なキャラクター的優しさを前面にと思い、2ndキャラと同等に人工皮膚な要素で覆っていたりする。

 見た目的に清楚感をプラスさせようとして、白衣とも呼べる白を基調とした衣装にしており、もちろん機能的にも人工繊維による対抗菌性もしっかりと対応させている。

 そんな、普通の人がぱっと見にみたら看護師にしか見えない所見と行動を行うのだが、こちらが2ndキャラを使用して出会うと、先ほどのアレ的な状況になるため、お前、思考回路がショート寸前どころか、焼き切れているんじゃないのか?とさえ思えてしまう。

 さてと、どうしてコウナッタという心境を覚えつつも、ジト目でにらみつけざる得ない中



「ところで、アーネストお姐様、シーにどの様なご用事で?」



 今までの事をまるでなかった事にするかの如く、話を切り替えてくるシー。

 まぁ、シーのテンションに振り回されるよりかは、用件を伝えれて先に進むなら

それでいいかと割り切る。正直、暴走したシーに付きあい切れない事が多々あるのが、少々厄介ではあるが…いや、少々じゃないな、かなり厄介な事が多いが、今は頼らざるえないので、そこは妥協して話を進める。



「少し、"診て"くれ」

「えっ?"視る"んですか?」



 仮に着ていた上着をめくり、腹部の状況を見せようとしたとたん「キャ!お姐様が素肌を」と両手で顔を隠しながら照れてるお銚子者的な様子だったのだが、破損状況の場所を見た途端一転。なにか空気が徐々に重くなってきている様な……



「ドコノドイツデスカ?お姐様にこんなひどい事をしやがりました奴は……

 貫通痕ですからドッギャリアですか?それともバーダソーですか?

 どちらにしろ、切り刻ざむ事確定デス。殲滅DEATH」



 なんか、発言の最後らへんに機械生命体なのに殺気みたいな雰囲気を漂わしているんですが?あと、切り刻む事確定といいながら、いきなり取り出した得物はどうみても「突き刺す」モノの代名詞、シーの身長ほどもある注射器銃シリンジガンなんですけど…それ、相手に突き刺す事・・・・・ができれば、薬品(薬または毒)を強制注入するとかで生物ナマモノキラーとも呼ばれ、近接武器の図鑑を50箇所埋めた事で手に入る、見ためどうみてもネタなのに超凶悪な武器なんですけど‥‥?まぁ、毒で殺しちゃったら素材が手に入りにくいとなるため、採取などにはあまり使われない武器だし、装甲値が一定以上の相手だと突き刺す事が出来なくなるから、一部の雑魚モンスター用としてはいまだ使われていたけれど…。


 ちなみに、ドッギャリアは某鉱山惑星に生息するドリルみたいな角を持ってるサイの様な陸上生物で、バーダソーは浮遊大陸惑星でレイピアみたいな突起物がついてる縄張り意識の高い大型の鳥の様な飛行生物である。どちらも、刺突攻撃を行ってくるモノであり、一定以上の装甲値があれば貫通される事もない"雑魚"モンスターである。

 機動力を重視している2ndキャラでの汎用装甲では、確かにエネルギーシールドを展開しなければ、簡単に貫通してくる火力を持っているモンスターではあった。



「落ち着け。ガーランという水中生物で、もう食用の肉になっている」



 その言葉が効いたのか、背後に"ゴゴゴゴ"という擬音文字が見えてきそうな雰囲気を醸し出してくるシーの態度が一転



「さすがお姐様です!」



 今度は空気が軽すぎるぞ…、なんかもうこれ以上振り回されるのが困るから、とっとと用件だけ伝える事にする、その間にも何故かこちらにすり寄ってくるし…



「とりあえず、リペアを頼みたい。あと、左腕も頼む」

「了解です!少し、視せてください」



 そういわれ、今度は左腕の状況を見せていく、リペア特化のために状況確認として、いろんな方向からと"ほむほむ"というリアクション付きで専用のツールらしきモノ(見たことないぞ、ソレ)を呼び出しては、スキャニング?みたいな恰好で検査が開始されていた。

 一通りのチェックが終わったのか、その後には"うーん"と両腕を組みながらうなる格好をみせており、やはり何かしらの問題点が出てきたのかと少々不安になる。



「どうなんだ?」

「難しいですねぇ…」

「難しい?」

「はい、お姐様のお肌をより私好みの艶やかさにする為には、

 やはり妥協は許されませんね。

 それに、肌触りと揉み心地をもっと追及するため……アゥイタイ…」



 何か余計なことをしようとしていたので、空いている右手で頭を軽くシバいておいた。というか何を企んでいるんだよ…。釘をさしておくべきだよな、絶対…。



「そこまでは不要だ。で、直せれるのか?」

「アゥ‥‥元に戻すだけなら余裕の余にもなりません。

 ただ、完全修復を施すには約五時間以内といった所です」



 叩かれた頭を手でさすりながら、というか機械生命体なのに痛みあるのか?あれ?という事を思いはしたが、

 五時間か…もう次の日といった所か、ならばもう今日はスリープモードに入ってもよいだろう、うん、もう今日はいいかと、リペア作業に入ってもらうため、自身はスリープモードへと入ることを伝えると、シーは何やら含みのある笑みを浮かべて……嫌な予感がヒシヒシとしてくるのだが…



「いいか?余計な事はするなよ?いいな?」

「……」

「今度から呼ばないぞ…」

「えっ!?そ、それだけは、それだけは‥‥」

「なら、余計な事はするなよ?」

「……はーい」



 まるで、しぶしぶといった感じで返事を返してくるシー、こちらとしては不安財調がより強まったとしか言えない状況なのだが、頼らざる得ないのも事実なため、ベッドへと横になった後、気になりながらもスリープモードへと移行した。






**********************************


「‥‥(お姐様…寝ました?寝ましたよね?寝ましたね?‥‥フヒッ)」



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