第15話 現場に行ってみるは・・・
「おい、お前ら、美人さんが来てるぜ!」
「うぉ、すっげぇ美人さんだ」
「マジやん!うひょぉ!!」
「しかも、スタイルも良いときてるぜ」
「お近づきになれねぇかな?」
「バッカ、お前じゃ無理だろ!」
「お前だって無理だろうが!」
「ならオレだな」
「「「それはない」」」
ようやく辿り着いた港湾工事の作業現場に隣接している事務所と思わしき建物の入り口で、親方を呼んできますのでと待たされている事しばらく。
その間に少し先の壁の向こう側では、この現場の労働者なのかこちらを覗き見ては何かしらの感想や仲間内のからかいなどでざわついているのが聞こえてきていた。
いや、まぁ、この現場のこの場所においても、
「お待たせしました」
「フン」
呼びに行った助手的な人と一緒に、この現場の責任者といわれる人物と共に現れた。
その人物は、背格好は170台といった所で筋骨隆々といったところであり、その露出させている肌の部分には、何気に切り傷やらが無数に刻まれていたりしており、さらにその立派な髭面といい、まさに海の男という表現がピッタリな人物であった。
が、その
「帰ぇんな」
これである。
「親方一応募集をかけたのですから、一度は話だけで「必要ない」」
助手的な人の言葉に被せるかの様、親方と呼ばれる人はそう言い切ってくる。
なんというか、天然記念物的な、まさに頑固親父という印象。もう希少種で保護対象にでもなれるんじゃないか?
「フン…」
「落ち着いてください、親方…」
「海の力仕事にゃ、女子供は不要なんだよ!なんで男と書いとかねーんだ!」
「職業差別がありまして、それを書けないですよ」
「知るか!そんな事!!」
Oh、そうだったのデスか、こんな所でもそういった事情があるんですね…
ご苦労様です。
まぁ、それでも一応募集要項の件と、潜水作業においては自身がある事を伝えてはみたものの、「けっ」という言葉と視線をこちらにあわえようとしない人物が一人。
いや、ほんとに大丈夫なんだけどな・・・どうすりゃ解ってくれるのだろうか
「そこまで言うなら、おい、コレをよく見ろ」
と、無造作ともいえるぐらいに、その資材置き場と思われる場所に落ちていた少し角ばった黄色の石ともブロックともいえる代物だった。
何かあるのか?とジーっとみてみるが、やはり何の変哲もない石というかブロックとしか表現が出来ない。長方体というにはちょっと歪ではあるのだが、まぁそれぐらいのブロックみたいな物といった所で、
「よく見たな?」
その問に頷くことで返すと、何を思ったか沖合に向かって投げ込んだ。
「アレを夕刻までに見つけてこい。見つけたら採用は
「「えっ!?」」
と、助手の人と声がハモる。
っていうか、ちょ!!それ早く言ってよ!!と思いながら、急ぎその海へと飛び込み、すぐさま投擲された場所へと向かおうと内臓されている推進機を起動させる。
推進機は下腿部と脚装甲部の内臓してあるウォータージェット推進を起動させての移動なのだが……同時に、潜水ならと装備させた全域アクティブソナーをすぐに発生させる。たぶん、あの物体状況だとパッシブじゃ解らないはずだ。
それにこれは時間との勝負だ。海底へ着底してしまったら見つかる物も見つからなくなる。
魚群らしき集団を一部感知はするものの、今はそれを求めている訳じゃない、アクティブソナー二発目…沖合方向で下に向かっている物体を発見…大きさといい、たぶんあれだ!
狭域で三発目…よし、まだ海底に着底はしていないがアレで確定だろう。
標準のレーダーマップに位置を確認し、推定情報を登録しなおして…なんつーか、結構遠いと感じてくる。
あのオッサン、けっこう遠くまで投げやがるのな!!ああぁもぅ!!
「親方……断るにしても、もう少し旨く断らないと…」
「フン、そんな丁寧な方法は知らんわ。
おめぇら!何ボサッと見てやがる!さっさと仕事に戻れ!!」
「「「ハイサー」」」
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目的地としている座標に到着したのだが……薄暗い状況で明かりがあまり届いていない。
水深としては、だいたい30mにとどくかどうか程度。それでも明かりが届きにくいときている。ちょっと濁ってませんか?それとも、生活排水が…っていう事は、アレらも流されている…
考えても仕方ない。そこはまぁ、おいておこう。
ライトを点けて探してみるのだが……こりゃぁわかりにくいな。
海底は砂地というよりも砂利なので、もう大変である。
まぁ、黄色という色なので目立つとは思うが、それでも簡単に発見できるという代物でもないだろうと高を括っていたのだが、こりゃ難儀しそうだ。石さーん、どこですかー?返事してくださーい。などと言っていても返事が返ってくるわけでもないし、こんな事ならマーカーつけとけばよかったよ、おっとコレ‥‥じゃないな、丸いし。これ……でもないな、丸まってるし、何気に難易度が高いぞ?これはあれだな、圧迫面接(水圧物理)という奴ともいえるな。ホント老人たちの難癖みたいな面接って奴は、どこにいっても似たり寄ったりになるんだろうかね。これじゃぁ、"ワシが若かったころなんて~"とかいうお約束的な物言いからはじまる説教とか普通にしてるんだろうな
そんなこんなと雑念を含ませながら、探し続ける事しばらく
おっ、あれだな?
形といい、色といい、照合に一致。よし、見ーつけ‥‥
たっ?
"たっ"と思ったら、とてつもない物理的な衝撃と共に、何故か自身の身体が浮上し、海面すら飛び越えて空へと…なんだなんだと視線をむけてみると、
カジキマグロ?
つーかデカッ!!それよりも、なんでこんなとこに?
っていうか、キモ!なにあのギザギザ刃物の口とかっ……ってっ、パッと見カジキマグロなのに、なんか違う!コレ違うよ!
というか”Caution”という表示と共に、身体の状況表示部が一部黄色になっており、その黄色に表示されている左腹部へと視認すると、見事にその槍みたいな物が……
えっ?
さ、刺さってるっ!!
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