第8話 明日までどうしよう

 とりあえず、仕事に関してのスタートラインは立った。とは思う。

 思うのだが、とりあえず明日までどうしようか。


 懐具合はよろしくない。

 これ以上、無駄に費やす訳にはいかない為、夜街に出るという選択肢は無い。


 とにもかくにも、現状では節約を心がける必要がある。特に食費が半端なくかかる訳でもあるし、そうなってくれば拠点としては支払いを抑える為には、野宿なりしなければならないのだろうが、この身体で野宿ってなんだか…


 メンテナンスユニットやベースに立ってるとかならいざ知らず、機械生命体がたき火を前にし、身を屈めて野宿する姿というのは、なんというか、違うな。うん、違う。こればっかりは"ナシ"だ。ナシ。



 自分のロボ道が、それは違うと告げている。



 やはり、専用のメンテナンスベースユニットに駐機しているのが完璧だが、そんな物は存在しないのは明白である。ならば、次は・・・寝っ転がれる場所というのが次の候補だな。仰向けになってカーゴにのっかって運ばれるとか、うむ、これはこれで完成されたスタイルであるな。



 となると、そういう場所になりえそうなのは…



 普通に考えれば宿か?

 生物ナマモノ基準の店があの狭さだったからなぁ・・・また、あの四苦八苦しながら入らなけりゃ不味いのか?



 というか通りすがる人たちが、ちらりとこっちを見上げるちうか、ここの街の住人の身長って2mもないのか。

 自分が頭一つどころか、胸ひとつ分飛びぬけてる恰好じゃないか・・・見晴らしは良いのだが、なんというか、珍しい目で見られていたりする所がなんともはや・・・


 それに、さっきから懐あたりに手をいれこんでくる小さい奴らもいたりするが、倉庫デポットに各種格納させているから、スリなんて無理だっていうのに何度も挑戦してくる奴らがいたりする不思議である。


 あ、また別のガキんちょがやってきては、懐に手を突っ込んでは何かやってきている始末である。

 実際に物取られているわけでもないし、取られる様な構造でもないし、ほっとくか。




 それよりも、横になれる宿を探すのが先だ。




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