第6話 次はどうしよう

 食事という形でのエネルギー補給作業を終え、店を出るときにウェイトレスから「もう来ないでください」というお言葉を頂戴したが、まぁ、店から客がいなくなるという事態を引き起こしたというのは、少なからず自身のせいだろうというのは解らないでもない為、迷惑料も含めて少し多めに支払っておいたから大丈夫だろう。

 というか、ただ飯食べていただけというのに。理不尽である。


 とりあえず、この食事という方法からのエネルギー補給は、結論から言えば、"アリ"であることが判明した。


 結論からと言わなければならない理由、それはエネルギー変換効率がすこぶる悪いという点と、固形物を摂取した際の気持ち悪さに耐えられればという話である。


 まず、変換効率という点をみてみると、どれぐらい摂取すればいいのかを確かめるべく、とりあえず合計20人前を平らげてみたのだが、いくらまっても満タンFULLになる事はなかった。

 全体ゲージの半分を超えたところでピタッと止まってしまうとか、変換効率悪すぎでしょ、この身体。

 つまり、のこり半分を満たして満タンにするには、さらに20人前以上、ざっと目測でいえば40人前が必要という事になる。スッカラカンだと80人前必要となる目算である。どんだけ摂取しなければならないのか。


 VRMMOの時は、補給用のエネルギーパックが普通に店売りされているから、食料を食事で摂取しても足りなけりゃエネルギーパック飲んでたから特に気にはしなかったが、実際、リアルに体験するとこれほどまでに変換効率が悪すぎる物だったのか、いや、またはエネルギーパックが効率が良すぎるモノだったのかと、今更ながらに感じてしまう。



 次に、あの気持ち悪い違和感ともいえる感覚が、もう食い物いれたくねぇ…という嫌悪感として精神に鞭を打ってくる事である。

 強いて例をあげるなら、服と身体の間に活きの良いウナギが数匹入り込んで暴れているとでもいうか、それぐらい気持ち悪い感触がすごかった。

 今後、あの感覚に耐えなければエネルギー補給が出来ないのかと思えば、少し憂鬱な気分に……。



 少量だけなら耐えれるだろうが、20人前を摂取するだけであれだけの精神的ストレスを感じてしまう事に、うんざりという表現しかない。


 国民的な青狸型のロボットなんて、和菓子だけでも十分賄えてるはずなのに、その差はなんなんだろうか?糖分か?糖質なのか?そんな砂糖使った料理なんか周りでみかけなかったぞ?もしかして、砂糖貴重品だったり?


 それらの食事に対する問題もあるのだが、いま新たな問題が浮き彫りになった。なにせ、餞別で渡された資金が半分以上も減ってしまったのだ。


 迷惑料渡さない方がよかったか?いや、それじゃぁ失礼なロボになるだろう、それは駄目だ。ロボは紳士でなければならない。これは絶対事項の一つだしな、致し方ない件である。



 ううむ…それにしても、これだけ一気に資金がなくるのはまずい。


 毎回あの量の摂取が必要となるという事は、満タンにする為にはそれはそれは膨大な量が必要になるという訳で。


 まずい、まずい、まずい、これはかなりまずいぞ


 このままでは野垂れ死ぬ。いや、野垂れ停止?する。

 それだけは勘弁だ、せっかくの機械の身体、夢にまでみた機械の身体になれたというのに!これはもう本格的に仕事探しをしなければまずい。



 たしか、こういうファンタジー世界でいうところのお約束的なハローワークといえば……アレ…だよな。


 この街にもきっとあるはずだろう。ならば、早速探して見つけていくべきである!






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