第2話 VRMMO
とあるVRMMOがある。
多種多様な種族を選択し、その造形をも創作し、そうして、そのVRMMOのSF世界の中において、未知なる惑星へと冒険や開拓をしに向かう。
という題材の。
そのVRMMOにおいて、アバターとして設定できるのは、よくあるお伽噺の様な、神話に登場してくる様な、そういった架空の物語に出てくる亜人といえる種族など、多種多様な種族が豊富に用意されていた。
例えば、リアル嗜好ともいわれる
さらに、そんなよくあるそれらとは別にSFチックな異星人系とも言われる物もあり、昔ながらの火星人風なタコの様相をしている種族に、肌の色がやや青みがかってはいるが情報処理系が得意とする頭脳特化タイプ、身体の構造そのモノが地球の生命体とはまったく異なり、まるで単一元素で構成された様な種族など、種々様々存在していた。
その中から自身が選んでいるのは、SFチックな種族の一つ、
それは"機械生命体"
この機械生命体は、SFでいうところの"科学分野"を基本とした兵器を主として使いこなし、他の種族ではほぼ使えない超重兵装すらもたやすく装備して使用できる。
他に特徴を上げるとすると、他種の生物系ではとても有効ともなる生物兵器に対しても耐性が異常に高い、というか、そもそも有機質な生命体ではない為に無効ともいえ、標準的な物理への耐久値は他の
ここまで聞けば良い事ずくめに思われるだろう。
だがこのゲーム、SF科学の中にファンタジー成分を織り交ぜてきており、"機械生命体は魔法に関する魔術というモノが一切使えない。"というのが、運営が設定した種族的な特性を持つのが大きな特徴でもあり、それが欠陥にもなっっていた。
それ以外の制限ももちろん存在する。
例えを上げるなら、雷撃を喰らうと
さらに過去のバージョンアップで、当初は機械生命体と同じ様に魔法と言われる物が使用不可だった無機質系の種族で、岩人や氷人とかいわれる元素種族と呼ばれる存在は、その元となっている元素が自然界のなんたらかんたらで、エレメンタル的などーたらこーたらで、そのために魔力がうんたらかんたらとあるらしくて、そのエレメンタル的な特化型へと調整され、今では魔法と言われる物が一部、使用できる様になっていたりし、当初は"こいつら裏切りやがった‥‥"と思った事もあったりもしたが、まぁそこはおいておこう。
その結果かどうなのかは、はっきりとは明言はされなかったが、ユーザー間において確認された内容が"機械生命体は魔法に関するすべての物が、一貫して一切使えない、恩恵を受けない"という制限が見つかり、その制限が足を引っ張っぱるという羽目になり、人口比率がぶっちぎりの最下位へと押しやったぐらいの不人気種族に陥った。
その制限の一例をあげてみれば、その魔法に関する特性仕様の為か"補助系魔法すら一切受け付けない"という仕様にもなっており、肉体強化ともいえるバフ系魔術の恩恵を一切受けれない。
もちろん、そんな仕様が存在するという事は、続々と追加されていくイベントやクエストに登場してくるボス級ともいえる敵キャラは、その補助系魔法ありきの調整がなされていっているため、バージョンアップし続けて調整されていった結果、火力インフレ状態のボスとの戦闘に突入するという状況が否応なしにも追加される形になった。
その追加されていくインフレ状態のボスというモノが、プレイヤー側も"バフ系による強化補助を受けた状態を前提とした調整"が成されてしまっている為に、そのボスからの攻撃を被弾すると、補助の恩恵を受ける事ができる種族は耐えれたとしても、その恩恵が一切うけれない機械生命体だけが、とんでもないダメージを受ける形になってしまったのである。
ほかの種族では、バフを使えばソロ余裕とか言われてる相手にすら、"一撃くらう=瀕死(ミリゲージしか残らない)"というスリリングこの上ない仕様へ化けてしまい、さながら、最高難易度クラスのアクションゲームへと早変わりしたのである。
そんな状況で慌てたのは運営であった。
バフ魔法ありきの調整という事をしでかしてしまった運営側も、後手ではあったのだがパッチ調整で"機械生命体専用"のエネルギーシールドや、エネルギーフィールド、エネルギーブーストなどいろいろ追加したりしていったのだが‥‥‥焼け石に水、時すでに遅しといったレベルであり、高性能バフありきの火力インフレ化したボスには到底追い付ける事にはなる物ではなかった。
簡単にいうなれば、エネルギーゲージがあれば、"一撃くらう=瀕死"から"一撃くらう=重症(センチあるかないか分のゲージは残るよ!)"になった程度になり、さらに言うと、エネルギーゲージか枯渇したら、そんな機能が働くはずもなく、相変らず瀕死になるという仕様でもあった。
そして、その後の運営側は、その手の調整を根本的におこなう事も出来なくなったのか、表層的(いうなれば見た目だけの調整など)な部分しか行われなくなり、完全に忘れさられた状態ともいえる何もない状況が幾年も続くことになり、そうなった為か、メインとして使用する人口が徐々に少なくなっていき、ついには匙を投げたといわんばかりに、バージョンアップの告知が発表されたとしても、一部種族だけ調整が微々たるものか、まったくなされる事もなく、いつの間にか音沙汰すらもなくなっており、バージョンアップが告知されたときは、ユーザー間においても"機械生命体に愛の手を!"や"いつもの事でした。"というのが一種のネタとなっていったぐらいである。
‥‥とまぁ、自分的にはそういう欠陥や癖も含めて"機械生命体"という存在が大好きであり、いや、大好物であり、そのVRMMOでは自らがその生命体として動かせれるというのに加えて、メーカーが途中から配布し始めたアバター製作ツールを使えば、見た目も機能もある程度は思いのままというか、他の種族以上にカスタマイズできたりとしたのが始めるための本当の動機でもある。
それに加えコレクション趣味も相まって、武器や兵装に興味というか最強部類と言われる武器の一部、魔剣とか魔術具とかを装備できても使えない、装備する事すらできない武器群を趣味で通り集めてたりしていた。
まぁ、よくあるアイテム図鑑を埋めればプレゼントがある。
という餌に見事に引っかかっただけともいえなくもないが‥‥‥、態々課金して倉庫最大枠をふやすだけ増やしてまで集めたりしていた自慢のコレクションたちが存在したりもする。
それらコレクションを収拾する為には、一人のアバターがもちえる倉庫では足りなくなってしまった為に、追加で倉庫用のアバターまで作りだしたのが、それでも足りないという恰好でさらに収拾保管する為にとまた一人と作成し、当初はそんな倉庫キャラクターだったのだが、それだけではとそれぞれに育成方針は異なる方向で育成しはじめ、それに加えて外観も全く別ものにもしてある。
そんなこんなで
個人的にアバターにキャラクター設定までも作って遊んでいるユーザーもいるらしいのだが、そういうのも遊び方の魅力であるのだろうが、そこまでRPプレイする必要があるのかは自分としてはどうでもよいことでもあるが、一応はかくキャラ事のコンセプトを決めて作っては育てあげたキャラクターたちである。
その中で、一番のお気に入りはやはり重武装型である
1stキャラといえるこの機械生命体のコンセプトは、ロボは重武装ですよ重装甲!重火器つかってヒャッハーなんですよ!最初の一撃は譲ろう。で、受けた後に被弾痕が軽微な状態から反撃をするというのが良いね!ロボなんだもの!
と、いうのが初期のコンセプトだったのだが‥‥
昨今の追加されるインフレしたボス戦でそれやると大顰蹙買ってしまう。
なにせバフを貰う事前提で調整されている相手の火力を、そのバフの影響を一切うけれない機械生命体が、最初の一撃を譲ってしまえばどうなるのか?
それは、確実に"瀕死"or"死"に繋がるものである。
いきなり戦力ダウンを余儀なくされる形となるのは自明でもあり、そういう討伐クエストに参加した際には、当初から自分の事を頭数に入れていない仲間内から「まーた
さてはて、そういうVRMMOなのだが、今回の新章として大型の新パッチが当てられる事になっていた。
数年ぶりに"機械生命体"にも追加機能が施されるという事で、(というか、数年ぶりってどれだけ放置され続けていたのか…)多少なりともの期待はしたのだが、今迄が今迄、放置における放置されていた種族である。
前情報で提示している大まかな内容に、どういう調整が入ったのかは未体験の為に期待するのはよそうという、悲観的な情報交換が当たり前である機械生命体である。
何せ放置を当たり前状況をしてくる運営なのだから過信するのは禁物である。
その放置っぷりから機械生命体という種族は、放置「され」種族、(運営から)見放された種族とかいうレッテルすらあるぐらいなのだから‥‥
そんなこんなのあるVRMMOの機械生命体ではあるが、新章という形で追加された新しいパッチが配布されたVRMMOへ、とりあえずは1stキャラともいえる重武装キャラで開始しようと、ログインしてスタートさせたと思ったら……先の現状である。
本当に、何が何やら‥‥‥わけがわからない‥‥‥
これ、新章のオープニングか何かですか?
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