Going ago/Coming ago 03

「え?ああ不動様。久しいべ」

「姫様、御無沙汰だ」

不動様と呼ばれた男は一礼した。

「年納めの大事な時期に何の用だべ?」

「実は、末の宴に姫様を招くべと話しあがって」

「はぁ、今まで出たこどないべさ?」

「おらほでもだど思ったはんで止めたんだども」

「反対してなしてそんな話さなったんだ」

「それが殿様が呼ぶど決めなすった」

「おっとぉが決めた?」

「んだんだ」

「んだばいかねばまいねべの」

「だびょん」


とまあ途中から何言ってるかわからないだろうと思うので現代語訳を載せておく。「年納めの大事な時期に何の用だべ?」

年越しの忙しい大切な時期に何の用件でしょう?

「実は、末の宴に姫様を招くべと話しあがって」

実は、年末の祝宴に姫様を招こうという話が皆の中で挙がったので、

そのお誘いに来ました。

「はぁ、今まで出たこどないべさ?」

はあ、そうですか、でも今までその宴に出席したことはないでしょう?

「おらほでもだど思ったはんで止めたんだども」

私たちもそうだと思ったのでとめたんですけど。

「反対してなしてそんな話さなったんだ」

反対して何でそんな話になったんでしょう?

「それが殿様が呼ぶど決めなすった」

藤崎城主が招くってことを決定したんです。

「おっとぉが決めた?」

お父様が決めた?

「んだんだ」

ええ、その通り。

「んだばいかねばまいねべの」

であれば出席しなければダメでしょうね。

「だびょん」

そうだろう。


あまり乗り気ではなさそうな主であった。

他にもいろいろな話をしていたが、翻訳できたのはこれぐらいであった。


夜、何故か私も出席することになったと聞かされた。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る