「立場」6話 完結

 シンデレラは粗末な物置の寝床を涙で濡らした。


 翌日から又、継母や意地悪な姉たちにコキ使われる日々が始まった。


 シンデレラは疲れていた。失われた希望の喪失感は、彼女の人格を根底から崩壊させ始め、苦境ににも負けない、強かな美しさ、生来の明るさが彼女から失われつつあった。


 ある時、我慢の限界に達した彼女は、口うるさく用事を言いつける継母たちに反抗した。

 普段大人しく従順なシンデレラの狂気じみた剣幕に、彼女達は恐れをなした。

 それからシンデレラは継母達に恐れられる様になった。雑務を言いつけられる事も少なくなった。


 ただ、納屋で独りうなだれていた。


 そんなある時だった、姉達が外で話す声が聞こえた王子の噂だった。


 隣国に使者として出向くらしい。


 仲の悪い隣の国、王子の身が案じられた。


 だが王子自ら、志願しての事らしい。


 隣国との問題を解決し、その褒美として「硝子の靴」の持ち主を、もう一度探す約束を王と取り付けたらしい。


 だが姉達は更に噂しあった、隣国の王女は、この国の王子に気があるらしい。


 王族同士の婚姻は、国家間の信頼関係を固め周辺地域の安定させるための重要な外交手段であった。

 王子は交渉次第では、隣国の王女との婚姻が決まるらしいと、姉達は話し合って溜息をついた。


 そして、王子が出立間際に周囲のもへ漏らした言葉、メッセージについて熱っぽく噂しあった。


 「身体を癒し待っていて欲しい、再開のその時まで。私は必ず君を迎えに行くから。」


 姉達はその言葉に沸き立っていた、今から足を、あの「硝子の靴」へどう合わせるか?

 医者、錬金術士、薬、様々な方法を検討しあい笑いあっていた。



 シンデレラ泣いていた。王子の決意に、王子の自分への気持ちに。


 翌日からシンデレラには活力が戻っていた。彼女は先ず足の怪我を治す事から始めた。

 ちょっと良い事もあった。継母達がシンデレラを恐れ。今での様な極端な嫌がらせは控える様になったのだ。


 シンデレラは心と身体の健全を取り戻しつつあった。いや、また新たな心の魔法が芽生えつつあった。


 シンデレラは心の中で祈った。



 王子様、無事のお帰りを、お待ちしております。



 教訓 アキラめてはイケナイ

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